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患者への指導アプローチ方法を工夫し、薬歴をSOAP形式で上手に書く方法

投稿日:

ノートを書く女性

医師にとってのカルテや薬剤師にとっての薬歴に今や欠かせない記入形式がSOAPです。

しかし、いざ薬歴をSOAP形式で書こうとしても上手く書けない!と悩んでいる薬剤師は結構います。

インターネットで「薬剤師 SOAP」と検索をしても、いまいちピンとくるような情報がないとも言われています。

今回は、SOAPを書く際の注意点や意識することを主に解説していきます!

この記事のポイント

  • SOAP形式はPOSの概念を具現化する記載方法
  • 電子薬歴の多くがSOAP形式で入力できるフォーマットを搭載している
  • 指導内容をSOAP形式に落しこめない場合は指導アプローチ方法を工夫する
  • 薬剤師は患者さんが反応しやすいような声賭けを改善して習慣化していくこと



SOAPとは?

SOAPの基になるPOSとは?

薬歴はSOAP形式で記入する事が、主流になっています。

このSOAP形式ですが、根本にはPOSという概念を基にした具現化の形式です。

このPOSは、Problem Oriented Systemの略で問題志向型システムを意味します。

少し難しいのでかみ砕いて説明すると、「患者さんの視点に立って問題を解決する方法論」のことです。

過去の医療現場では、がんの告知などは行われていませんでした。

本当の病気の名前を知っているのは、主治医と近親者のみ・・という感じだったのです。

しかし、今は病名を患者本人に告げ、積極的に治療に参加してもらい克服していくという方針に変わってきました。

当然、薬の服薬指導を行う立場の薬剤師も、患者さんとの向き合い方や服薬指導のアプローチの仕方が変わってきます。

患者さんが積極的に治療に向かえるようにPOSの概念を取り入れて、その概念を具体的に記載できるプロセスがSOAPなのです。

薬歴の記入形式としてのSOAP

薬剤師には、服薬指導内容を薬歴と残すことが義務づけられています。

そして、最近では薬歴をSOAP形式で記載することが、主流となっています。

SOAPは4つの項目に分類した記入します。

  1. Subjective data(主観的情報)⇒患者さんが話した内容、症状など
  2. Objective data(客観的情報)⇒ 検査データ、処方内容など
  3. Assessment(判断・評価)⇒①②の内容から得られる、薬剤師としての判断・意見(例えば、併用薬の相互作用や副作用などを記載するのはこの③です。)
  4. Plan(計画)⇒服薬指導内容、次回確認する内容など

SOAP形式は、どの薬剤師が見ても過去の薬歴内容や指導内容が分かりやすくなります。

服薬指導の内容をだらだらと作文的に書いてしまったり、何も書かれていないに等しいようなものは、服薬指導の要点が分かりにくくなってしまいます。

指導内容をSOAP形式のそれぞれの項目別に選択し簡潔にまとめることで、次回対応する薬剤師は理解は早まりすっと入っていけるのです。

電子薬歴とSOAP

SOAPは電子薬歴に標準装備されている?

現在は多くの薬局でペーパーレス化が進み、電子薬歴を導入しています。

電子薬歴の普及が進むにつれて、パソコンのデフォルトにSOAPが標準機能として備わっているものが多くなりました。

電子薬歴を開くと、SOAP形式で記入できる様にカスタマイズされているものが多いので、非常に書きやすくなりました。

電子カルテのSOAP画像例を見てみましょう。

電子薬歴のSOAP画面

例①株式会社三菱電気ビジネスシステム

服薬指導支援システム Melhis
メルヒス(電子薬歴画面見本)

上記の赤枠がSOAPの記入欄です。
左に処方内容があり右に過去の薬歴があります。

例②株式会社メディカルシステムネットワーク

PHARMACY ACE
Pharmacy ACE(電子薬歴画面見本)

この薬歴では、記載する際にSを選んだりPを選んだり出来るタイプです。
薬剤師歴の長い人向けでしょう。

このように電子薬歴上にはSOAPが標準装備されていますので、SOAP形式で記入するのは当たり前の時代となっています。

SOAPを書き方

SOAPに書くべき内容について

調剤薬局に勤務していると、毎日多くの患者さんの薬歴を書くことになります。

薬が変更されたり、追加されたり、副作用が出たりといった明らかな変化がある場合は、薬剤師にとって服薬指導がしやすいものです。
当然、薬歴も書きやすくなります。

しかし、リピーターの患者さんで薬の処方内容も症状も変わらない、測定や採血などの数値データもない、という情報が少ないケースは書くことがなくて困ってしまうといった状況に陥ります。

情報が少ない場合のSOAP記入例

薬の処方内容に変化もなく、定期的な採血や測定を必要としないリピート患者さんのケースを考えてみましょう。

まずは、薬剤服用歴管理指導料の算定項目を見直しましょう。

ア 患者の基礎情報(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番 号、住所、必要に応じて緊急連絡先)
イ 処方及び調剤内容(処方した保険医療機関名、処方医氏名、処 方日、処方内容、調剤日、処方内容に関する照会の内容等)
ウ 患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理 に必要な患者の生活像及び後発医薬品の使用に関する患者の 意向
エ 疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加 療中の疾患に関するものを含む。)
オ 併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康 食品を含む。)等の状況及び服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
カ 服薬状況(残薬の状況を含む。)
キ 患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)及 び患者又はその家族等からの相談事項の要点
ク 服薬指導の要点
ケ 手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合はその理由と患者 への指導の有無)
コ 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点
サ 指導した保険薬剤師の氏名

厚生労働省保険局医療課:平成30年度診療報酬改定の概要「調剤」

服薬指導を行う際には、上記のア~サを実施することが必要となります。

しかし症状が安定していたり、処方内容が同じ患者さんの場合は、上記の指導項目だけでは情報量が限られてきますので薬剤師の側で工夫が必要となります。

例えば、

  • 数値データ(血圧、生理学的検査採血、などの検査結果)
  • 生活の変化
  • 薬の保管方法・破棄方法
  • 飲み忘れた場合の対応
  • おくすり手帳以外に服用している医薬品の有無

上記の項目を、参考に患者さんに応じて問いかけてみましょう。

  1. 問いかけに対して患者さんが答えてくれた内容を⇒S
  2. 検査項目などのデータなどがある場合は⇒O
  3. 薬剤師としての判断や考察を⇒A

として薬歴記載が可能です。

処方例:毎回同じ処方の場合で併用薬なし

  • 処方内容
    • バルトレックス錠(500)2錠 朝・夕食後 5日分
  • 処方履歴
    • この患者さんは毎月ヘルペス(単純疱疹)が出ます。そのため、毎月同じ処方です。合併症はありません。

服薬指導例

ヘルペス(単純疱疹)は再発します。
皮膚科で受診するケースが多いのですが特に採血なども行わず、薬の処方だけが行われるケースがほとんどです。

服薬指導を行う度に用法用量の説明等の画一的な指導で終わってしまいがちです。

今回は、2:生活の変化を応用して、患者さんへ問いかけしたケースを会話のきっかけとして、服薬指導をした場合を想定して考えてみましょう。

〇〇さん、今月もバルトレックスが処方されてますね。ヘルペスは再発しやすいのでストレスなどを貯めずにすごしてみましょうね
ストレスはないんです。ただ、毎月生理の時期になるとヘルペスが出るんです。毎月飲んでいて大丈夫でしょうか?耐性とかついて効かなくなったりしませんか?
なるほど、毎月来局されてバルトレックスが処方されていたのは生理に関係があったんですね。バルトレックスに関しては、耐性がついて効かなくなるということはないと言われています。
実は以前海外に住んでいて、その時はドラッグストアでヘルペスの薬が買えたんですよ。でも、日本ではヘルペスの薬は処方箋による保険調剤対象薬なので、毎月受診が必要になってしまうんです。結構大変です。
そうだったんですね。この薬はヘルペス・帯状疱疹に効果を示すのですが、症状が初期であるほど服用の効果が期待できます。ヘルペスの種類によっては予防的に処方も可能なんです。ヘルペスが再発する時期が予め分かるような場合は、少しだけ早めに受診にいらっしゃるとよいかもしれませんね
今日、いろいろ聞けてよかったです。ずっと飲んでいて危険じゃないかと気になっていたんです。

改善前のSOAP

  • S:またヘルペスになりました
  • O:Do
  • A:用法用量はしっかり守って服用で来ている。ヘルペスの再発。
  • P:腎臓で排泄される薬のため、多めの水で服用するように指導した。

改善後のSOAP

  • S:「生理の度にヘルペスになる。毎月飲んでいて大丈夫でしょうか?」
  • O:バルトレックス処方。前回〇/〇でdo処方
  • A:単純疱疹の再発による受診。ストレスや疲れが原因ではなく、生理の度に発症してしまうとのことが聞き取りによって分かった。
  • P:ヘルペスは再発しやすい疾患であること・発症初期に服用した方が効果が期待できること・再発を念頭にヘルペスの種類によっては予防的に処方をする場合もあることをご説明した。

このように、薬剤師側からいつもとは違う会話でアプローチをかけることで、患者さんは反応がしやすくあります。

画一的で一方的な指導を行うのではなく、会話のキャッチボールがしやすい声賭けを行うことで情報量が増えて服薬指導の幅も広がり、SOAP形式が記載しやすくなります。

他の声掛けのアドバイス例

1、数値データ(血圧、生理学的検査採血、などの検査結果)

国立大学付属病院などでは院外処方箋に院内採血結果が印字されるようになりました。

民間の病院ではまだ院外処方箋に対して検査値データの印字を行っている所は少ないですが徐々に増えていくでしょう。

採血結果等の票を説明できるように、患者さんに積極的に声掛けを行いましょう。

2、生活の変化

類似薬への処方変更の理由の中には、服用タイミングが生活に合うように医師に相談した結果というケースもみられます。

仕事によっては夜勤がある人、食事を取る時間がなかったりする人、人それぞれです。

空腹時に服用する類似薬に処方変更されたりします。

薬剤師の方で処方が変更された旨を伝えるだけでなく、その理由が患者さんの生活のリズムによる場合はヒアリング内容を薬歴に残して次回に応用できるようにしましょう。

3、薬の保管方法・破棄方法

急性の症状で受診した場合、内服・外用共に必要最低限の処方がなされます。

しかし、外用などはチューブやパッケージ包装が多いため症状に比べて処方が多めになり残ってしまいます。

患者さんの中には、数年前に処方された吸入薬や軟膏チューブを再使用する人がいます。
とても危険です。

自己判断で後日使用しないためにも、薬の保管や破棄方法について言及するようにしましょう。

物を大切にしたり節約するという精神のある患者さんは案外多いですが、医薬品は別物であることを服薬指導の際に伝えていきましょう。

4、飲み忘れた場合の対応

自覚症状が強く出ると薬のコンプライアンスは高まりますが、症状が治まると薬の服用を自己判断で止めてしまう患者さんやうっかり忘れてしまう患者さんは意外に多いものです。

来局のタイミングから薬のコンプライアンスはある程度確認できますので、声掛けを行うとよいでしょう。

薬によって飲み忘れた場合の対応は異なりますので、丁寧に説明するようにしましょう。

5、おくすり手帳以外に服用している医薬品の有無

最近は大半の医療機関が院外処方箋となりましたが、ご高齢の医師によるクリニックなどでは未だに院内処方のところもありおくすり手帳用のシールが発行されません。

そのため、毎回おくすり手帳を持参してくれる患者さんの手帳にも、抜けがある可能性を忘れないようにしましょう。

慢性疾患の現病歴のある患者さんの手帳にはシールが貼られていない分の併用薬を、手書きで書いてあげると他の調剤薬局の薬剤師さんの目にも留まって新設です。

このように薬剤師の服薬指導は、アプローチ方法によって広がりを出せます。

毎回同じ処方で薬歴に書く情報が困ってしまわないように、常日頃から意識して服薬指導を行いましょう。

急に服薬指導のスタイルを変えれられない、忙しくて調剤をこなすだけで精一杯など、事情はあるかと思いますが、毎日すこしずつ変化を加えていけば習慣化して定着していくでしょう。

まとめ

SOAP形式は薬歴の共通記載スタイルです。
しかし、いざ服薬指導の内容をSOAP形式に反映させようと試みてもうまく書けない事があります。

上手く書けないケースの多くは、毎回同じ処方で合併症もなく症状も変わらない場合です。

そのような場合は、患者さんへの指導アプローチ方法を少し工夫してみることをオススメします。

声掛けの内容によっては患者さんも反応しやすくなり、普段得られないような情報を得ることができます。

調剤報酬の改定の度に、服薬指導内容の項目が増えて薬歴を記載する時間も指導時間も増えています。

薬歴を書く段になって何を書こうか?と悩む時間を少なくするためにも普段の指導方法に工夫をしていきましょう!

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