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知っておいて損はない!薬剤師のフィジカルアセスメントについて

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患者の手を握る女性

フィジカルアセスメントとは問診・視診・触診・聴診・打診など、患者の身体に触れることにより診察を行うことです。

多くの薬剤師は学生時代に「薬剤師は患者の身体に触れてはいけない」と習ったと思います。
私もそうでした。

しかし最近「薬剤師がフィジカルアセスメントを行うことは問題ない」とされ、むしろ推進されていることをご存じですか?

薬剤師がフィジカルアセスメントをすることは本当に問題ないのか、そして何故必要とされているのかをまとめてみました。

特に在宅医療に興味がある方は、要チェックの話題ですよ!



薬剤師がフィジカルアセスメントをしても本当に問題ないの?

そもそも薬剤師が患者の身体に触れてはいけないと言われていたのは、医師法の条文に以下のように記載されているからです。

「医師でなければ、医業をなしてはならない」(医師法17条より引用)

とても短いこの一言をもって、医師ではない薬剤師は患者の身体に触れて診察まがいのことをしてはならないと言われていたということ。

それが覆されるキッカケとなったのは、平成22年に厚生労働省医政局長から出された「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」という通知です。

その中で薬剤師は医療チームの一員として、患者の副作用把握や服薬指導による薬学的管理を行うべきと示されています。

この医薬局長による通知に対し、日本病院薬剤師会が内容の解釈と実践事例をまとめて発表しました。
参考日本病院薬剤師会による解釈と実践事例

これによると薬剤師が医療チームの一員として活躍して行くためには「患者の身体所見をモニターする」「血圧・脈拍・体温・呼吸数・意識レベルなどのバイタルサインを確認する」など、フィジカルアセスメントへの取り組みが必要であると示されています。

チームとして医療に取り組むメリットは様々な角度から適切な治療を検討できることであり、薬剤師が医師とは別の角度から患者を観察することは大きな意義があります。

多くの薬剤師がフィジカルアセスメントを実行可能になれば、医療の質は格段に高くなることは間違いないでしょう。

ただ前述の医師法を以って薬剤師のフィジカルアセスメントを「越権行為」と捉える医師もまだ少なからずおりますので、医師や看護師など医療スタッフと意見を合わせながら進める必要がありますね。

日本病院薬剤師会の解釈においても「医師の了解を得た上で」「医師と協働して」というキーワードが多く使われていることからも、まだまだ薬剤師のフィジカルアセスメントへの取り組みが手さぐりということがわかります。

薬剤師のフィジカルアセスメントとは何をするのか

現状薬剤師に求められるのは「処方内容が適切かどうかの監査」「副作用の早期発見」です。

問診により詳しく患者の状況を聞き取りするのは当然ですが、皮膚の状態の観察・痛む部位の確認・心臓や肺、腸の音を聞くなどのアプローチも取りいれる必要があるということ。

加えて血圧や脈などバイタルサインの読み取りも、薬剤師の技能として求められるようになってきています。

バイタルサインとフィジカルアセスメントを上手く取り入れることで、薬の効きすぎや不足を発見し医師にフィードバック可能。

医師の専門科目外の副作用兆候にも、気が付きやすくなりますね。

薬剤師がバイタルサイン・フィジカルアセスメントを取りいれることは患者さんにとっても大きな意味がありますが、患者さんと話す時間が短い調剤薬局ではなかなか取りいれるのが難しい状況です。

病院の入院患者に対しては医師・看護師からのアセスメントが主となるため、薬剤師の活躍できる場はまだあまりありません。

現状薬剤師のフィジカルアセスメントが最も求められている現場は、在宅医療です。

在宅医療が進んだため、フィジカルアセスメントも求められるように

つまり医薬分業から始まりチーム医療・そして在宅医療やプライマリ・ケアへと薬剤師の活躍できる場が増えることによって、薬剤師によるフィジカルアセスメントが注目されるようになったということ。

それまでは薬局で調剤ばかりを行っていたが薬局を飛び出しほかの医療従事者と並んで医療に貢献するために、薬以外の知識も身に着ける必要が出て来たんですね。

薬剤師によるフィジカルアセスメントは医師とは別の視点から副作用の兆候・処方内容を検討するという意味などがありますが、在宅医療の現場ではさらに別の意味を持つことも。

例えば白衣高血圧の患者は高齢者に多く、病院ではさらに緊張感が増すため血圧・脈共に乱れがちです。

その数値に合わせて処方されると本来必要なよりも多くの薬が出てしまうことがありますが、在宅の現場である患者の自宅でバイタルサインを取り数値を管理することでより自然な状態での数値を確認することができます。

また薬剤師は医師よりも時間に融通が利くので、薬の血中濃度が定常状態となっているときのバイタルサインや副作用兆候を確認し、より良い処方への検討ができる情報を得ることができますね。

薬剤師が薬局の外で患者さんと触れ合う機会が増えるほど、フィジカルアセスメントの能力を持つ薬剤師が優先されるようになるでしょう。

フィジカルアセスメントを学ぶにはどうしたら良い?

「薬剤師もフィジカルアセスメントの知識が必要」と突然言われても、なかなかそのような勉強をする機会はありません。

参考書で学ぶこともできますが、フィジカルアセスメント・バイタルサイン共に紙の情報だけではなく実際に人に触れて学ぶ方が技術・知識を身に着けやすいのは明らかですね。

そのためフィジカルアセスメントを学びたいのであれば、薬剤師向けの講習会やセミナーに参加するのが一番良い方法です。

一番有名な講習会は日本在宅薬学会が開催している「薬剤師のためのバイタルサイン講習会」です。

5時間ほどかけてバイタルサインの取り方や読み方・実技を学びます。

最後には試験もあるため、本当に力がついたかどうかチェックもできますね。

また各地の薬剤師会でフィジカルアセスメントのセミナーや講習会が随時開催されていますので、居住地域の薬剤師会ホームページなどを見てみましょう。

他にオススメなのがプライマリ・ケア認定薬剤師指定講座でもある「薬剤師あゆみの会」のeラーニングコンテンツ、薬学ゼミナール生涯学習センター開催の研修です。

内容は毎年変わりますがフィジカルアセスメント・バイタルサインに関する講義は年々増えつつあり、資格取得まで考えていない方も講座を受ける価値は十分にあります。

講座を受講したからと言ってすぐにできるようになるものではないですが、いざという時に困らないように基礎知識だけはつけておきたいですね。

まとめ

薬剤師もバイタルサインを読み取りフィジカルアセスメントを行うべきと初めて言われてから8年ほど経ちましたが、まだまだ薬剤師の能力や環境は求められるものに追いついていません。

薬剤師会による環境整備のための働きかけもさらに必要とは思いますが、個々の薬剤師がもっとフィジカルアセスメントへの興味を持つことも大切ですね。

現在在宅医療に関わっていない薬剤師であっても、少なからずバイタルサイン・フィジカルアセスメントの知識を活かす機会はあると思います。

将来在宅医療がメインになったときに焦らないために、一度バイタルサインやフィジカルアセスメントの講習会を覗いてみても良さそうですね。

もし書籍から学ぶのであれば狭間研至先生の本がオススメです。

狭間先生は薬剤師のためのバイタルサイン・フィジカルアセスメントの第一人者であり医師の資格も持っているので、より実践的な内容を学ぶことができます。

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