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法律、省令などから薬剤師の配置基準について徹底確認!

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イスに座る人たち

医療法には、施設の規模や有資格者の職種によって配置すべき人数が定められています。
これを「配置基準」といいます。

この定めがあるからこそ、一人の人間が可能な仕事量がある程度明確になり、有資格者として安心して働けます。

一般薬剤師は、この配置基準に対する書類作成に係わらないので、自分の職場の明確な数字を知らないことがほとんどですが、毎年薬局所在管轄の保健所から書類が届くので責任者が作成して届出を行っています。

今回は、薬剤師の配置基準について法律や省令を確認しながら解説します!

ポイント

  • 病院薬剤師の配置基準 入院患者70人に対して薬剤師1人
  • 調剤薬局の配置基準 処方箋40枚に対して薬剤師1人
  • 厚生労働科学研究班の研究結果では処方箋1枚に対する薬剤師業務は12分
  • 薬剤師配置人数の計算は常勤薬剤師の勤務時間を軸として算出する
  • 薬剤師配置基準は日本の法律・省令なので違反すると行政処分が行われる



配置基準とは?

配置基準とは有資格者等に対する施設規模や患者数に応じて、法律で定められている人員配置のことです。

薬剤師の免許を使用する職場として、主に調剤薬局と病院を例にみていきましょう。

配置基準の法律と規則

医療法

医療法は1948年(昭和23年)に公布された日本の法律です。医療を提供する体制の確保と国民の健康保持を目的に作られました。この医療法の中には医療提供施設の概念や病床の種類、医療事故発生についての規則が述べられています。

医療法施行規則

この医療法施行規則は、上記の医療法を具体的に実施するために細かく制定した法令です。

厚生労働省からの1950年に公布されました。

具体的に薬剤師の配置人数を見て行きましょう。

・一般病院
一般病床 患者70人に対して薬剤師1人
療養病床 患者150人に対して薬剤師1人

・特定機能病院
※1992年(平成2年)に医療法が改定され、医療施設の役割分担することになりました。

特定機能病院とは高度な医療の提供や研修を実施する能力を備えた病院を示し、慢性的な長期入院を必要とする患者を受け入れる病院を療養型病床群とするなどです。

ちなみに特定機能病院はほとんどが大学病院です。

東京都では15施設承認されています。(国立がんセンター・順天堂医学部付属大学病院・東京大学医学部付属病院などです)

病床 患者30人に対して薬剤師1人
外来 調剤数80に対して薬剤師1人

・療養病床のある診療所
人員の配置基準の定めはありません

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令

薬剤師の配置については、薬事法に基づいた省令によって定められています。

正式な名称は「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」で、通称で薬剤師の配置基準の省令と呼んでいます。

調剤薬局は原則として1日の処方箋枚数によって薬剤師の配置が定められています。

1日の処方箋40枚に対し薬剤師1人です。

また、この配置は前年の実績に基づいて算出されます。

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
(薬局の業務を行う体制)
二 当該薬局において、調剤に従事する薬剤師の員数が当該薬局における一日平均取扱処方箋数(前年における総取扱処方箋数(前年において取り扱つた眼科、耳鼻咽喉科及び歯科の処方箋の数にそれぞれ三分の二を乗じた数とその他の診療科の処方箋の数との合計数をいう。)を前年において業務を行つた日数で除して得た数とする。ただし、前年において業務を行つた期間がないか、又は三箇月未満である場合においては、推定によるものとする。)を四十で除して得た数(その数が一に満たないときは一とし、その数に一に満たない端数が生じたときは、その端数は一とする。)以上であること。

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令

ポイント
薬剤師の配置基準は病院と調剤薬局では異なります
・病院薬剤師の配置基準 入院患者70人に対して薬剤師1人
・調剤薬局の配置基準 処方箋40枚に対して薬剤師1人
・共通事項としては単位が1日ということ
因みに医師の場合は一般病院の場合入院患者16人に対して医師1人です。

薬剤師の配置基準の実態は?

配置基準に対する質問答弁

有資格者に対する配置基準は、法の定められています。

しかし、配置基準が制定された年から年数が経っているのもあり、配置基準の見直しを求める声が出ています。

医療や業務の複雑化によって、かなりの業務時間を要するようになってきたからです。

最近では、平成28年末に衆議院議員により、薬剤師の配置基準について答弁が行われています。

参考衆議院ホームページ(薬剤師の配置基準に関する再質問主意書)

どのような答弁がなされたのか具体的に見て行きましょう。

  1. 薬剤師の配置基準は、本当に現状に即しているのか
  2. 処方箋発行の診療科によって薬の投薬数が異なるはずなのに、なぜ一括りにされているのか
  3. 新卒の薬剤師と経験豊富な薬剤師を、1人と同列に考えてよいのだろうか
  4. 調剤に従事する薬剤師は、正当な理由がないと調剤を拒んではいけないとあるが、来局数が人員数基準を上回った際はどちらを優先させたらいいのか

ざっくりまとめると、このような答弁がなされました。
この答弁は調剤薬局の現実を非常に明確に反映されています。

診療科によって薬の種類は全く異なります。

外科系は1枚の処方箋に収まる程度ですが、循環器内科や精神科など薬による治療に重点が置かれている診療科からの投薬数はものすごく多いものです。

薬のピッキングだけでくたびれてしまう薬剤師さんも多いでしょう。

また、新卒薬剤師のピッキングのスピードと経験値による服薬指導にかかる時間は、経験者やベテランのそれとは全く異なります。

1日に60枚を裁ける薬剤師と、1日に25枚しか裁けない薬剤師とは1年間の仕事量が違ってきます。

その辺りは、各薬剤師の経験値に応じて、年収という側面でカバーできますが、たいして出来なくても薬剤師免許さえ持っていたら、職能最低賃金はもらえる仕組みなので、業界関係者の中で賛否両論あるのも確かです。

規則に違反するとどうなるの?

薬剤師の配置基準は国が定めた法律や省令ですので、これに違反すると処分を受けることになります。要するに行政処分です。

処分は関連法律によって異なりますが、調剤薬局の業務停止・事業者名の公表や効力の停止などがなされます。

配置基準の妥当性について

1枚の処方箋に付き平均12分

調剤業務の複雑化によって衆議院でも配置基準の人員が適正なのか?という議論されていますが、一方で厚生労働科学研究班では「薬局・薬剤師の業務実態の把握とそのあり方に関する調査研究」を行っています。

この研究班調査についての概要と結果を、簡単に説明します。

概要
省令によって調剤薬局の薬剤師の配置基準は、1日平均40枚の処方箋に対して薬剤師1人と定められています。

しかし、この枚数は現状に即しているのか?を調査したものです。

データに偏りが生じないように、地域を考慮しながら全国10薬局を対象に調査したものです。

研究結果
調査結果によると処方箋1枚に対する調剤所要平均時間は、12分だったとのことです。

12分×40人=480分で8時間となることで、労働基準法的にも妥当ではないかとの結果でした。

加えて、今後の検討課題としては、対人業務にシフトする中で、1処方箋あたりの時間が増えるのか減るのか、薬剤師の業務の見直し等の中で引き続き検討すべきと述べられています。

考察
この調査結果を見ると、あまりにもデータ根拠とした調剤薬局数の母数が少ないと感じました。

全国に5万7千軒以上もある調剤薬局の内、10箇所だけだと信憑性は低い気がします。

国の科学研究班の調査結果は指標となるので、せめて総数の1パーセントに当たる570軒程度の母数で取り組んでもらいたかったと多くの薬剤師が感じていると思います。

薬剤師配置人数の計算方法

薬剤師の配置基準は、前年度の処方箋枚数の平均値が基準となります。

処方箋40枚で薬剤師1人ですので、処方箋41枚~80枚で2人、処方箋81枚~120枚で3人ということになります。

処方箋が増えてきても、翌年にならないと人数を増やす必要がないという意味です。

この辺は会社が考慮して、早めに人員を増やして一人の薬剤師に対する負荷を軽減させるべく、求人を出してくれる会社が大半です。

しかし、人件費を抑えたい会社や職場環境に敏感に反応できないところは、ギリギリにしか動かない傾向がありますので注意しましょう。

また、最近では求人を出しても薬剤師を確保できない、という状況が多くの薬局で起きています。

その場合は、正社員薬剤師にかかわらず、いろいろな働き方を許容できる薬局が生き残るでしょう。

産休や育児休暇の導入と実績があることも大切です。

また家族に何かあったときには、時短制度を利用できる体制などがあるだけで、退職しないで正社員復帰することが可能となります。

ちなみに薬剤師の配置基準は常勤換算することになっているので、パート薬剤師の場合は勤務時間によって計算することになります。

例えば、1週間の勤務時間が40時間である場合、週に合計20時間勤務のパート薬剤師は20÷40=0.5人と計算します。

この計算方法については、各都道府県の福祉保険局から疑義解釈されています。

薬局の薬剤師数
・常勤薬剤師をもって員数1とする。
・常勤薬剤師とは、薬局で定める勤務時間の全てを勤務する者をいう。
・非常勤薬剤師は、その勤務時間を1週間の薬局で定める勤務時間により除した(割り算
した)数とする。ただし、1週間の薬局で定める勤務時間が32時間未満と定められて
いる場合は、換算する分母は32時間とする。

東京都福祉保健局:薬局機能情報報告書等 記入上の留意点

今後の医療改革に即しているか?

日本では、2020年~2025年に向けて大きな医療改革が実施されます。

調剤薬局の場合は、毎回の調剤報酬の改定で少しずつ対人業務にシフトするように舵が切られています。

人を増やすか、機械化していかないと仕事量が増えて薬局収入は減っていくでしょう。

調剤薬局の一連の業務は、患者さんが来局したらお薬手帳の確認、ジェネリック医薬品への希望確認、医薬品のピッキング、薬歴確認、処方監査、医師への疑義照会、薬剤の投薬と服薬指導などです。

この一連の業務に組み込まれる内容が、調剤報酬改定の度に増えて複雑になってきています。

そこで、なんとかスムーズに出来るようにする手っ取りはやい方法が機械化です。

ピッキングマシーンの導入・電子薬歴・処方箋読み込みのバーコードリーダー、在庫管理システムなどです。

調剤薬局を運営する会社に資本がある場合は、従業員の負担を軽減するべく機械化が可能ですが、機械を導入する資本体力がない薬局は、アナログな部分が継続して薬剤師自体に負担がかかっていく可能性があります。

しかし、東京証券取引所に上場しているような体力のある大手調剤薬局は、短期的収益を上げないといけないため、来局患者さんに投薬するだけで手一杯で、薬歴を書かない&書けないという事態にも陥り問題は山積されています。

現時点では、予見できる将来の事柄に対して十分な対策が練られていませんが、現実に問題が表面化し始めたら省令自体の変更も行われるかもしれません。

薬剤師の中で、今後転職を希望する方は、日本の医療が大きく変わる節目に差し掛かっていることを念頭に短期的ではなく、中期的に考えて職場選択をすることが大切となるでしょう。

まとめ

医療関係者の有資格者には、それぞれ配置基準が定められています。

しかし、薬剤師の配置基準は1950年に定められており、かなり昔の基準が適応されています。

近年の調剤報酬の改定からは、薬剤師に対して業務内容の高度化・複雑化・対人化が求められていますので、新しい時代に応じた薬剤師の適正配置化が望まれています。

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