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マスクの効果や正しい装着方法、患者さんへの心理影響を徹底解剖!

更新日:

マスクを着用した女の子

冬の季節になると風邪やインフルエンザが流行ります。

そんな時期に必需品となるものの1つにマスクがあります。

医療機関や薬局で働いている医療従事者は使い捨てマスクを頻繁に使用しますが、たまに上下・裏表反対に装着している人を見かけます。

マスクには上下・裏表があるのをご存知ですか?

今回はマスクの効果や正しい装着方法、マスクは患者さんにどの様な心理影響を与えているか?などについて詳しく解説していきます。

ポイント

  • 一般的なサージカルマスクの穴は5μmのため飛沫感染が予防できます
  • ウイルスや細菌はサージカルマスクの穴を通り抜けてしまいます
  • マスクには種類があるので感染レベルに合わせた使い分けをしましょう
  • マスクには上下・表裏があります
  • 患者さんの中にはマスクを装着した薬剤師に威圧感を感じる人もいます



マスクの機能と効果について

マスクの機能について

マスクを着用しても、感染予防効果が得られないという人がいます。

確かにマスクの穴とウイルスや細菌の大きさを比較すると、ウイルスの方が小さいので穴を通過してしまいますし、目や鼻から侵入もします。

しかし、咳をすると唾液と共に飛散してしまうので飛沫感染予防はかなり期待できます。

医療機関や薬局には、感染症に羅患している患者さんが多数訪れます。
医療従事者側のマスク装着は、予防面と感染症蔓延防止の面で非常に重要です。

平常時に1日中マスクを装着するのは息苦しくなりますが、冬の季節は空気も乾燥しますのでなるべくマスク装着をおススメします。

空気の乾燥は、気道粘膜の防御機能を低下させます。
マスクによって粘膜の乾燥を防ぐことが感染予防につながります。

因みに厚生労働省ではインフルエンザQ&Aをホームページ上に掲載しており、又『新型インフルエンザ等対策ガイドライン』も公表しています。
参考インフルエンザQ&A
参考新型インフルエンザ等対策ガイドライン

厚生労働省のホームページのインフルエンザの予防・治療についてのQ&Aぼ項目に「Q.9: インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか?」というのがあります。

この回答の中でマスクについて言及されていますので見ていきましょう。

  1. ワクチン接種
    • インフルエンザワクチンを事前に接種することにより、感染後の発症リスクを軽減又は発症後重症化を防止します。
  2. 飛沫感染対策 特に感染者がマスク等の飛沫感染対策を行うことが重要!
    • インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみと言われています。
    • 特に飛沫感染を防止することによって感染を防ぐことが出来ます。
    • 咳やくしゃみが出るときはマスクをすること。
    • 鼻汁・痰などが付いたティッシュはすぐにゴミ箱に捨てること。また、手のひらに付いたらすぐに手を洗うこと。
  3. 外出後の手洗い等
    • 手洗いは感染症対策の基本です。
    • インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。
  4. 適度な湿度の保持
    • 空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下します。
    • 冬場の室内では加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保ちましょう。
  5. 休養とバランスの取れた栄養摂取
    • 休養とバランスのとれた栄養摂取が体の抵抗力を高めます。
  6. 人混みへの外出を控える
    • 人混みや繁華街への外出を控えましょう。
    • 人混みに入る場合には、飛沫感染等を防ぐためにマスクの装着をして感染予防をしましょう。
    • ※不織布(ふしょくふ)製マスクがオススメです。

このQ&Aに示されているように、具体的な感染予防としてマスク・手洗い・ワクチンは重要な位置付けにあります。

また、厚生労働省が作成した「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」には以下のように述べられています。

感染防止
発症した者がマスクをすることによって他の者への感染機会を減少させる効果は認められており、自らが発症した場合にはマスクは着用することが必要である。
他方、まだ感染していない者がウイルスの吸い込みを完全に防ぐという明確な科学的根拠はないため、マスクを着用することのみによる防御を過信せず、手洗いの励行や人混みを避けることなどの他の感染対策も講じる必要がある。

新型インフルエンザ等対策ガイドライン

このガイドラインにもマスク装着の重要性が書かれています。

病原微生物の大きさとマスクの効果

日本でマスク装着を意識するのは、スギ花粉とインフルエンザが流行る時期です。
マスク装着の目的は、花粉や細菌・ウイルスから身を守るためです。

ただ・・・実際のところどの程度予防できているのか?気になるところですね。

そこで、弘前大学大学院医療研究科の齋藤紀先が「弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療」で病原微生物の大きさについて解説していますので、図を引用して説明します。

病原微生物の大きさ
弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療

大きさ(単位;1μmは1mmの1000分の1です)

  • インフルエンザウイルス:約0.1μm
  • 細菌:約1~2μm
  • スギ花粉:約30μm
  • PM2.5:約2.5μm
  • 唾液:約5μm

※市販の一般的なマスクの穴の大きさ:約5μm

市販の一般的なマスクの穴の大きさとウイルスや花粉の大きさを比較すると、花粉や唾液の侵入は防げることが分かります。

しかし、細菌やウイルスはかなり小さいので、マスクの穴を通って侵入してしまいます。

一般的なマスクに求められるのは、飛沫感染の防止です。
それ以上の機能を求める場合は、状況に合ったタイプのマスクを選ぶ必要があります。 

マスクの種類

マスクの種類と使用用途

最近では街のドラッグストアでも通販でも、いろいろな種類のマスクが販売されています。

布製のものから三次元超立体タイプ、N95規格のフィルターを使ったタイプ、医療用によく使われるサージカルマスクタイプなどがあります。

今回は、マスクの穴の大きさ別に、種類と使用用途について解説していきます。

N95マスク:0.3μm~0.5μm対応

N95マスクはもともとは防塵マスクの産業用として使用されてきて、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格に適合した高機能マスクです。

この産業用マスクが一般的に知られるきっかけとなったのは、SARSという感染症がメディア等で放送されるようになってからでしょう。

SARSというのは、SARS: severe acute respiratory syndromeの略で、重症急性呼吸器症候群という病名です。

2002年に中国南部で集団感染が報告され、原因ウイルスはコロナウイルスと特定されました。

感染経路は、飛沫および接触(糞口)感染が主体です。
それから医療従事者にも、感染防止に効果のあるN95マスクの認知度が高くなりました。

SARS以外には感染度の高い結核・新型インフルエンザに使用されています。

N95マスクには3種類の形があり、カップ型・二面折りたたみ式・三面折りたたみ式があります。
0.3μm~0.5μmの粒子を95%以上を、ブロックする能力があると言われています。

医療従事者向けにガイドラインが出ていますので、一度は目を通しておきましょう。
参考医療従事者のためのN95マスク適正使用ガイド

N95微粒子用マスク
Amazon:3M™ N95微粒子用マスク
参考着用方法の図解

PM2.5対応マスク:2.5μm以下対応

PM2.5のPMはParticulate Matter(粒子状物質)の頭文字で、数字は2.5μm以下の物質を示しています。

自動車の排気ガス・工場で使用する石油類の燃焼で発生した物質が、大気中で化学反応を起こすことによって生じます。

これが呼吸器系の奥深くまで入ってしまうと肺がんや喘息、気管支炎を引き起こす危険があります。
大気汚染が酷い中国では、死亡者も出ているほどです。

政府広報オンラインでも、このPM2.5についての呼びかけが行われています。
オンラインのホームページは「PM2.5による大気汚染健康に及ぼす影響と日常生活における注意点」です。

PMの大きさ(人髪や海岸細砂)との比較(概念図)
PMの大きさ(人髪や海岸細砂)との比較(概念図)
PM2.5による大気汚染健康に及ぼす影響と日常生活における注意点

このPM2.5は大気中濃度によっては、注意喚起を行う事になっています。
基準は日平均値70μg/m3以上です。

大気汚染の予防としてはマスクが挙げられています。

PM2.5に対して推奨されているマスクは、DS2(日本・厚生労働省)かN95(米国・NIOSH)の規格に合格したものです。

しかし、これはかなり大気汚染の酷い環境下での使用となるので、日本で平常時に使用していると不自然です。
そのため、一般のドラッグストア等で販売されているPM2.5対応のマスクが一番手ごろでしょう。

医療用サージカルマスク:5μm対応

医療用サージカルマスクとは、不織布(ふしょくふ)製です。

不織布とは、複数の原料を組み合わせることで、厚みや空隙を自由に調整できるものです。
文字通り織っていない布です。

繊維を接着したりからみ合わせたりして、薄いシート状にしています。
粒子捕集性や通気性に優れており、マスクのフィルタ部に使われたり、紙おむつや生理用品などにも使われています。

例として、医療従事者にヘルスケア製品を提供している、3M社のサージカルマスクをみてみましょう。

商品例:3M™ スタンダード 耳掛け式 フェイスマスク 1827J

3M™ スタンダード 耳掛け式 フェイスマスク 1827J

特徴

  • 耐水性:着用者の血液・体液曝露を低減します。
  • 軽量・三層構造:快適な着け心地で、呼吸を妨げません。
  • 低アレルギー性:皮膚刺激が少なく、ソフトな肌ざわりです。
  • ガラス繊維不使用。
  • 天然ゴムラテックス不使用。

以前は家庭用はガーゼマスク、医療用はサージカルマスクと区分されて使われていました。

しかし、花粉症に羅患する人が多くなってからは、サージカルマスク利用者が増えてきました。
今ではサージカルマスクの方が、シェアが大きくなり気軽に購入できるようになってきました。

ポイント
・ガーゼは穴の大きさによって用途が異なります
・大きく分けて3種類のマスクがあることを知っておくといいでしょう
・平常時には不織布のサージカルマスク装着が適しています

おススメのマスクとは?

調剤薬局で平常時に使用するマスクには、使い捨ての不織布製のマスク=サージカルマスクをオススメします。

通販やドラッグストアで手軽に購入できます。
3層・4層の物がよいでしょう。
冬場の接客時のエチケット、平常時の感染予防に適しています。

最近では、マスクの内側にぬれフィルターが入っているタイプや、のどを潤すタイプ、香り付きタイプ、メイクが落ちにくい立体構造のタイプなどいろいろ工夫されたものが発売されており、値段にも幅があります。

薬局内で使用する際には、耳紐が硬くない柔らかいタイプで使用していてしっくりくるものを選ぶといいでしょう。

マスクの着用方法について

マスクの上下・裏表

サージカルマスクにはジャバラ式のプリーツが付いています。

サージカルマスク
日本メディカルプロダクツ:マスク

ジャバラ式プリーツの上下

正しいマスクの装着の方法
メディコジャパンHP正しいマスクの装着の方法

マスクを上下に引っ張ってみて、そのプリーツを伸ばした時にジャバラ状の折り目を下に向けて装着するのが、正しいマスクの使い方です。

このジャバラ式プリーツの折り目を上に向けたままマスクを装着したらどうでしょう?

プリーツの折り目に花粉、飛沫、ホコリが溜まることになってしまいますね。

そうすると、結果的には花粉や飛沫が、マスクの内側に侵入しやすい環境を作ってしまいます。

ジャバラ状プリーツの折り目を下にして装着し、花粉や飛沫がプリーツに溜まらないようするのがポイントです!

ジャバラ式プリーツの表裏

マスクの表を外側、マスクの裏を内側とします。

多くのサージカルマスクは、ゴム紐が本体に接着されています。

大半はゴム紐接合部分である接着面がある方が、表(外側)になるように作られています。

これはマスクが顔になるべくピタッとフィットする様に、マスクと肌の密着感を高めるためです。

大半のマスクのゴム紐は表(外側)に取り付けられているので、ゴム紐が外側になるように装着するのがポイントです!

マスクは患者さんにどのような心理的影響を及ぼすのか?

医療ドラマを見ていると、医療従事者を象徴する物に白衣とマスクがあります。

しかし、患者さんから見ると、調剤薬局の薬剤師はそのカテゴリーとは別枠!?な存在のようです。

2013年に「薬剤師のマスク着用が患者の相談行動心理に及ぼす影響」という研究論文が発表されました。
この論文では、医療従事者には、2通りのタイプがあることが示唆されています。

感染対策に重きをおいて、マスクを装着する医療従事者と、患者さんとの係わりを重視してマスクを敢えて装着しない医療従事者とがいるようです。

特に小児科の分野では、医師の表情がよく見える透明なフェイスシールドの方が、患者さんに好評との結果が出ています。

そして、患者さんが調剤薬局の薬剤師に求めているのは、身近なよき相談相手という研究結果が出ました。

患者さんの反応から薬局によっては、敢えてマスクを装着せず顔の表情を見せる方を選択しているところもあるようです。

この研究結果では、薬剤師との信頼関係構築が十分でない患者さんは、マスク装着をしている薬剤師を見ると相談しにくいと感じていることが分かりました。

特に相談行動を妨げると感じている患者は「患者自身がマスクで感染予防を行わない」・「マスクをした薬剤師を消極的と捉える」・「若年層」でした。

患者さんからすると、マスクを装着した医療関係者は表情が見えなくて怖い、というイメージがあるようです。

感染予防という側面を考えると、冬場のインフルエンザが流行している最中にマスクを装着しないのは、明らかに感染防止の面から逆効果です。

しかし、患者さんの中には、マスクを装着した薬剤師を否定的に見る人もいるという現実を知っておく必要があります。

調剤薬局に来る感染症(風邪やインフルエンザなど)の患者さんに対しては、マスクが感染防止に役立つことを説明するようにしましょう。

そして、小さなお子さんやマスクに対して威圧感を感じる患者さんへは、説明時にマスクを取るなどして臨機応変に対応してみるとよいかもしれません。

一緒に働いている薬剤師同士で見解が異なる場合は一度話し合ってみるとよいでしょう!

まとめ

医療機関には感染症に羅患した患者さんが多く訪れるため、医療従事者はマスクによって感染予防する必要があります。

しかし、一般的に使用するサージカルマスクの穴は5μmです。

この5μmは飛沫感染の予防としては十分な機能を持ち合わせていますが、ウイルスや細菌は通してしまいます。
そのため、感染レベルによってマスクの種類の使い分けをしていくことが必要となります。

大きな総合病院に従事する医療スタッフは、感染症に関して指導を受ける機会やマスク装着方法を学ぶ機会も多いです。

しかし、調剤薬局で働いている薬剤師の中には、マスクを反対に装着している人も見かけます。
サージカルマスクには上下・裏表がありますので、今一度初心に戻って付け方を確認しておきましょう。

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