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AIに薬剤師の仕事も奪われるのか?今後の薬剤師の働き方についての考察

更新日:

機械の手と触れ合う人の手

ここ数年前からAI技術の素晴らしさが話題になっています。

AI技術により日常生活がより便利になるのは歓迎ですよね。
しかし一方でAIに仕事が奪われるという現実にも直面しないといけない事態を迎えそうです。

医療業界は基本的に人間相手だからAI技術は導入されないと楽観視していて大丈夫でしょうか!?

今回は、医療業界で今後どの程度AI技術が導入される可能性があるのか?

最新ニュースを元に解説します!



AIってよく聞くけど実際にはなんのこと?医療分野に適応されるとどうなるの?

ここ数年前からニュースでも新聞でも、AI技術の情報がクローズアップされ、凄い技術なんだというのは多くの人が知るようになりました。

医療分野にAIが導入されるとどうなるでしょうか?

医師は患者さんへのインフォームドコンセント(説明と同意)の面でも必要とされる場面は多いですが、薬剤師に対しては機械的に薬を渡すだけなら必要とされないのでは?という警告が薬学関係の学会等でも発せられています。
参考【医薬品情報学会】AI時代の薬剤師業務議論‐情報整理、ケア注力が重要(2017年7月12日)

AIとは?

AIとはArtificial Intelligenceの頭文字をとっており、日本語に訳すと人工知能という意味です。

最近になってAIという言葉の認知度が高まってきましたが、このAIは最近急に出来た技術ではありません!
実は1960年代からある技術です。

2015年3月に発売された書籍『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』の中にAIの歴史が分かるグラフがあります。

AIの歴史

出典:松尾 豊著KADOKAWA『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』

AIは第一次・第二次ブームを経て、現在は第三次ブームの時期にあります。

コンピュータ囲碁プログラムや自動運転自動車のニュースで多くの人がAIという言葉を知るようになりました。

しかし、AIと言われてもピンと来ない人が多いのではないでしょうか?!

ロボットなのかコンピューターなのか?それとも全く異なるものなのか?遠い未来の話のようで分からない人が大半なのが現状です。

コンピューターとAIの違いは?

コンピューターとAIは異なるものです。

コンピューターは外部情報の入力があってその通りに稼動するものです。
一方AIは、自ら学習することができるのです。

AIには種類があるのか?

人工知能は大きくわけて2種類あります。

  1. 特化型人工知能(AGI)
  2. 汎用人工知能(GAI)

特化型人工知能(AGI)というのは特定の作業をするものです。

例えば、自動運転技術、将棋、人との会話といったある特化されたものだけを行います。

参考YouTube-日産自動車株式会社:Introducing the Nissan IDS Concept
参考羽生善治三冠も参戦 AIと戦う棋士は何を思うのか 
参考YouTube-ソフトバンク(SoftBank):はじめまして、Pepperです

一方、汎用型AIというのは特定の作業に限定されない人間と、同様のそれ以上の汎化能力があるものを示します。

まんがやテレビにでてくるような、ドラえもんのようなものです。

ところでAIの情報や記事を読むと必ず出てくるのがディープラーニングという言葉です。

ディープラーニングとは、端的に言うと言葉通り深層学習を意味します。

人工知能、機械学習、ディープラーニングの違い
NVIDIA:人工知能、機械学習、ディープラーニングの違いとは

上記の表は、AI・マシンラーニング(機械学習)、ディープラーニング(深層学習)を説明する時によく利用されている表です。

マシンラーニング(機械学習)もディープラーニング(深層学習)もAI(人工知能)を表現する1つの方法ということが分かります。

具体的に示すと、機械学習とは世の中の特定の事象について、データを解析しその結果から学習して判断や予測を行うためのアルゴリズムを使用する手法のことで、ディープラーニングは機械学習・AI分野全体の実用的応用を実現するものなのです。

AIが既に導入されている分野の現状と未来

既にAIが導入されている分野として、話題に挙がっているのは金融業界です。
AIは既に、世界の金融の中心であるウォール街から仕事を奪っています。

アメリカのウォール街には名だたる証券会社やヘッジファンドがあります。

かつては多くのトレーダーが働いていましたが、数年前からAIが導入されて実際にAIが金融商品を運用しているとのことです。

ニューヨークに本社のあるゴールドマン・サックスは、現物株式取引部門トレーダーが2000年には600人いましたが今ではわずか2人とのことです。

要するに頭脳明晰なトレーダーは、リストラされてAIに仕事を奪われてしまったのです。

世の中全体としては優秀な人材がウォール街に集まってしまっていた現象を食い止められますが、リストラされる側としては恐怖としか言い様がないと思います。

このように着々とAIの社会進出が進んでいるのです。

時代が進むのは早く、気が付いた時にはテレビや映画の中の話だと思っていた話が目の前で起きている可能性があります。

医療業界がAIを導入するメリットはあるのか?

病院や薬局ではAIが導入されるのか?

病院や薬局といった医療現場に、AIが導入できるようにと多くの研究者や会社が挑戦をしています。

しかし、医療現場の特性上、スピーディーな導入はなかなか難しいようです。

AIはデータから数多くの相関関係を見つけることは可能ですが、因果関係を特定することが現時点で出来ないからです。

もちろん、医療現場の中の仕事にも、AIが得意としている分野があります。
机上で数値化出来るレセプトデータや検査結果データなどです。

これらに対してはAIの導入が可能と言われていますが、カルテ情報、診断から経過という治療、医師のさじ加減的な面はAIを導入するにはまだまだ難しいと言われています。

AIは学習し問題解決すること、パターンを認識することなどはできますが、想像すること仮定することが出来ないのです。

ポイント
・多くのデータを学習して適切に抽出することは出来る
⇒検査結果・レセプトなどの分野にはAIは導入しやすい
・因果関係や想像することは現段階では出来ない
⇒診断や治療といったカルテに必要な思考力が必要な分野には導入は出来ない

医療最先端技術とAIについて

実臨床ではまだAIの導入は現実的ではありませんが、医療の最先端研究をおこなう場では、AIを活用して実績が少しずつ出ているようです。

話題となっている大学や研究での具体例を見てみましょう。

1、東京大学医科学研究所;米国IBM社「ワトソン」
がん患者の遺伝子データを入力し学習させ、がんの発症に関連する遺伝子変異を速やかに選び出すことができるAIです。これにより遺伝子変異を標的とする治療薬の提示が可能となります。

2、自治医科大学;「ホワイト・ジャック」
多くの論文と臨床データなどを学習したA「ホワイト・ジャック」Iと人間の医師が対話しながら病名候補を探し出す診療支援システムです。AIだけでは不可能な所を人間が補い協力して、病名を提示したり、適切な検査や薬剤の表示が可能となります。

3、米国 Enliyic社;「Enlitic」
ディープラーニングを用いて多くの画像検査の結果を学んだAIです。がんの早期発見や診断スピードの向上などが可能となります。

4、がん研究会 Fronteoヘルスケア共同研究;「KIBIT」
特定分野のエキスパートの知見を学んだAIです。患者に応じた治療法を提案します。これにより医師の診断を支援でき、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)も行います。

このように、国内外の大学の医学部の実臨床でAIが試験的導入されつつあります。

AIはディープラーニングが得意です。

その特性を生かし、例えば特定疾患の医学論文2000万を学習させたり、莫大な数の画像(CTやMRI)や血液検査データを学習させると医師の診断のサポートが可能となります。

具体的には、CT画像の患部(例えばがんの転移部分)に人間が印を付けたものを大量にAIに学習させると、それを基に転移が発見できるシステムも作られて応用されています。

しかもAIの診断は約10分程度という驚異的な早さとのことで、多くの医師が驚いているようです。

しかし、AIは単一のデータを学ぶことは得意ですが複数のことができません。

CTだったらCTだけ、レントゲン画像だったらレントゲン画像だけという風にです。

病気の診断には複数の検査が必要ですし、最終的にはいろいろなデータを基に考察して総合的に判断されます。

CTは得意だが病理診断は出来ないなど、全てに万能なAIは今のところ作れておらず、初めて見るような症例にはまず対応不可能です。

このように、現状ではまだAIは医師を超えることは不可能です。

しかし、想像を超えるような大量のデータを学び、それから結果を導き出すことは得意としていますので医師をサポートできるとツールとなることは明かです。

薬剤師の仕事がAIにとって変わる日は来る?

薬剤師の主な仕事である調剤業務は機械的な作業なので、AIで代用可能か否かと言われると、代用可能でしょう。
それは、薬剤師自身が日常業務で日々感じていると思います。

調剤という単純作業だからこそ人手が足りない、有給が取り難い、単純作業で退屈・・・と感じるのです。

しかし、調剤業務の最終監査や服薬指導・薬歴(カルテ)の場面は医師の診断と治療・カルテ作成に相当する部分です。

薬歴の作成に必要な情報をマニュアル化は出来ますが、患者さんには個体差があります。

想像・判断・仮定するという思考力が問われる部分のAI導入は難しいでしょう。

今後の日本は少子高齢化で、働く人口は減り老人が増えます。

このままの医療体制・調剤薬局では従業員の疲弊が避けられない事は目に見えています。

医療費である社会保障費が年々国民を苦しめる中、今までと同じ給料で仕事だけが増えていくことが予想されます。

AIに仕事を奪われてしまう!薬剤師の仕事はどうなっていくのだろう?と薬剤師の中には保身に走る人もいるようですが、現実を直視しましょう。

機械化、AI化を歓迎していかないと自分たちの業務が増えて大変になるばかりです。

機械化できるところは合理的に対応し、人間しかできないところに重点的に人員を配置していかないと現場が上手く回らなくなってしまうでしょう。

日本の医療現場は閉鎖的で古い体質が残る業界です。

2025年の医療大改革に向けて大々的なICT化も計画されていますが、現場は混乱状態に陥るでしょう。

そうならないためにも人間しか出来ないことと機械やAIにサポートしてもらうところの住み分けを早い段階から行っていく必要があるでしょう。

ICT化とは?
ICTとはInformation and Communication Technologyの略で、情報通信技術のことです。
経済分野(経済産業省)ではIT化(Information Technologyの略で情報技術という意味)という言葉を使用し、公共事業分野(総務省)ではICT化という言葉を使っています。
英語を知っておくと混乱しないでしょう。

今後、薬剤師はどのように考えて働くべきか?

これからの薬剤師は、正確に薬をピッキングして患者さんに投薬するという、調剤の一連の業務の最後の部分の患者さんとの対応が今まで以上に重要になってくるでしょう。

多くの薬剤師が神経を使う部分は、薬のピッキングを間違えて誤投薬してしまうことです。

新人薬剤師であればあるほど薬の取り間違えなどの、ヒヤリハットのミスにかなりの神経をすり減らしています。

薬局によっては責任の所在を明らかにするために、ピッキングを行った薬剤師と投薬した薬剤師が後から追跡できる様にコンピュータ管理していたり、処方箋の裏にサインや判子を押したりして判別できるようにしています。

人間なので、どうしても機械的作業にミスはつき物です。
機械的な作業にだけ焦点をあてて、薬剤師の資質や能力を判断するのはなかなか難しい問題でもあります。

これからの医療現場は、ますます機械化が進むでしょう。

調べ物の分厚い書籍はスマホに収載され、手打ちの処方箋にはQRコードが付いてスキャナーで取り込め、電子薬歴で音声入力も出来るようになるでしょう。

今まで時間を要していた部分が機械化され、患者さんとの対話、副作用のモニタリング、他の医療スタッフとのコミュニケーションに時間を費やしていく方向へシフトしていくでしょう。

誤投薬をしないようにと緊張して神経をする減らす状況下の薬剤師像から、医療チームの一員として地域医療に参画出来る薬剤師を目指していきましょう!

仕事の視点を変えていくと今まで気になっていた些細なことを解決できるでしょう!

まとめ

AIは、私達の生活をより便利で、生産性の高いものにしてくれる一方で、人間の仕事を奪っていくという一長一短の技術です。

現に、金融の世界にはAIが実際に導入されており多くの従業員が職を失っています。

医療業界への導入も期待され、最先端医療を研究する大学機関等で研究が行われています。

AIには得意分野と不得意分野がありますが、AIが得意とする機能を医療分野へ導入できるようになると、医療スタッフはストレスフリーな仕事が出来るようになるでしょう。

AIに仕事を奪われる部分もあり得ますが、人間にしか出来ない部分を強化することにより共存は可能だと言われています。

調剤薬局での仕事は、調剤業務が大半です。
機械的なピッキング作業に、大幅な時間を費やしています。

この機械的な作業や薬の相互作用の確認などは、AIが得意としている分野なので、今後なくなっていく可能性はあります。

しかし、医師同様に人間にしか出来ない部分が薬剤師の仕事にもあるため、共存は可能だと考えられます。

現段階では調剤薬局数が多すぎて、どの薬局も薬剤師不足に悩まされています。
次の段階では、調剤薬局の淘汰が行われると言われています。

その次には国が主導となって、地域医療を実現させるべくICT化が行われ、資本力のある薬局が機械化を進めて生き残っていくでしょう。
その先にあるのがAIです。

来る将来に向けて本質的な薬剤師力を高めていきましょう!

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