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薬剤師のチーム医療との関わりとは?日本におけるチーム医療の現状と今後

更新日:

手を取り合うチーム

チーム医療という概念や言葉が少しずつ医療現場に普及し、今や医療関係者にとっては当たり前の事となってきました。

チーム医療の概念は、海外で活躍している日本人医師の学会発表やシンポジウムを通して広められたと言われています。

その後、診療報酬の加算点数などを通して、様々な側面からチーム医療が行いやすい環境に整備されました。

今回は、チーム医療とは何か?チーム医療における薬剤師の立場は?日本におけるチーム医療の現状と今後について解説します!

ポイント

  • チーム医療の概念はアメリカの日本人医師によって普及されたのがきっかけといわれている
  • 一人の患者さんをチーム(他職種)でケアしていくというのがチーム医療である
  • 病院内薬剤師は病棟業務を通してチーム医療を実施することが可能である
  • 調剤薬局においては調剤報酬に「地域支援体制加算」が新設された
  • 毎回の調剤報酬で新しい加算点数が設置され国からチーム医療が後押しされている



チーム医療とは?

疑問に思う女性

チーム医療とは何か?

医療関係者で「チーム医療」という言葉を知らない人はいないくらい、概念・言葉が浸透してきました。

日本でチーム医療という概念が広まったきっかけについては、所説ありますがアメリカのMDアンダーソンセンターの医師である上野直人先生と言われています。

上野先生は日本の医学部を卒業した後、渡米して米国腫瘍内科医師となった方です。

「日本がん治療学会の学術総会」でチーム医療のシンポジウム行ったことを封切りにチーム医療のワークショップを数多く主催しました。

上野先生の公演を聞いた多くの医師は感銘を受け、毎年のようにMDアンダーソンセンターの上野先生の元へ留学しています。

そして留学から日本に帰ってきた医師らによってもチーム医療が普及されました。

今まで日本の医療は医師の配下にありました。コメディカルには主体性がなく、医師との間に壁がありました。

又、内科と外科の医局間には熾烈な対立も存在していました。

これらの対立や壁は日本の医療システムの欠陥でした。

医師や医局間組織の力学(ヒエラルキー)が働くと、どうしても患者さんの治療に影響が出てしまうからです。

その為、チーム医療を浸透させることでシステムの欠陥を改善し、より良い医療を患者さんに提供しようと試みたのです。

チーム医療とは?
上野医師が主となり活動されている「MDアンダーソンがんセンター チームオンコロジー.com」というグループのHPを見てみましょう。そのHP内にチーム医療の定義がなされています。

チーム医療の定義
チームとは、ある共通の使命・価値観・信念(ミッション)を持ち、望ましい将来像・実現したい世界観(ビジョン)を共有した集団を意味し、ただ単に集合を意味するグループとは異なります。

チーム医療は、患者自身もチームの一員と考え医療に参加し、医療に関わる全ての職種がそれぞれの専門性を発揮することで、患者の満足度をより高めることを目指した医療を指します。

チーム医療に関わる職種は、医師、看護師、薬剤師、栄養士など、直接医療を提供するチームのみならず、福祉職、心理職、スピリチュアルケアなど患者および家族のサポートを行うチーム、家族・友人、企業、マスコミ、政府などを含めた医療や患者を囲む社会資源からなるチームも含まれます。

MDアンダーソンがんセンター

チーム医療は必要か?

従来の医療システムには欠陥があったと聞いても抽象的で分かりにくい人も多いかと思います。
そこで例えを用いて説明します。

古い医局制度が中心だった昔の大学病院では、ナンバー医局というものがありました。

今でこそ、内科と言うと糖尿病内科、循環器内科、呼吸器内科というものがありますが、昔は第一内科、第二内科という風にナンバーが振られていました。

現在の様に細かく専門化されてされていませんでした。

その為、入院患者さんに合併症などが起きても1つの医局という組織の中で対応していたようです。

当然、医局内の医師の中でも得意不得意の分野があります。

その為、患者さんにとって最善の医療を実施することがなかなか出来なかったといわれています。

現在では、喘息で入院した患者さんが入院中に糖尿病の治療が必要となったら、呼吸器内科の医師は糖尿病の専門医にコンタクトを取ります。

医局を超えて連携を取るのが当たり前となってきました。
このような連携が正常に機能することで患者さんに最善の医療が提供できるのです。

また、手術が必要な患者さんの場合、外来・病棟・リハビリ・投薬・フォローアップ受診などと多くの医療スタッフに関わることになります。

今までは病棟の医師と看護師間の情報共有のみで、患者さんがいつ入院して退院するか?などは他のスタッフの薬剤科やリハビリテーション科などには情報提供されませんでした。

しかし、チーム医療が浸透している病院では病棟回診に関係スタッフが同行する光景が多く見られるようになってきました。

医師やその他のスタッフが同時に集うことで、気付きや問題点などをその場で洗い出して意見交換できるように変わってきたのです。

薬剤師は入院患者さんと話をする機会が増えて、副作用・薬物動態・相互作用などの薬学的問題点に早い段階で気付き、自然に医師や看護師に相談したり報告できるような環境となってきました。

チーム医療が浸透する前は、病棟に薬剤師が来たり常駐することに対して院内スタッフからの反発もありました。

薬剤師は病院の端の方で薬の調剤をしていればいいと思われていたからです。

しかし、実際に病棟に薬剤師が来るようになってからは、「午後に薬剤師の〇〇さんが来てくれるからその時聞いてみようよ!」と若い看護師さんに頼られるようになり、「腎機能が低下しているけど、この薬の量もう少し減らした方がいいかな?」と医師から相談を持ちかけられ、電話が中心だった会話が「〇時に薬剤師さんが病棟に来てくれるから、そのタイミングで聞いてみようよ」という様に直接顔を合わして話をするという方向に徐々に変化していったのです。

このように薬剤師が医師や看護師と顔を合わせて会話していく内にチームの一員として認められるようになってきたのです。

チーム医療における薬剤師の役割は?

平成22年3月に厚生労働省から「チーム医療の推進について(チーム医療の推進に関する検討会 報告書)」が発表されています。

チーム医療に薬剤師が参加することは、現場スタッフからだけでなく国からも推奨されています。

※東京都にある虎ノ門病院薬剤部の林昌洋部長による「チーム医療における薬剤師の役割」は非常に分かりやすく解説されていますので参考にしましょう!

チーム医療における薬剤師の役割は、

  • 薬物療法を受けている患者さんに対する薬学的管理
  • 入院患者さんの持参薬の確認・管理
  • 薬の副作用に関する未然防止など

薬剤師としての知識をもって多くの医療スタッフと共に情報共有し、患者さんをケアすることです。

また、チーム医療に薬剤師が参加することでもたらされる効果には、下記が挙げられます。

  • 患者さんの症状の回復を促進したり、重症化を予防できます
  • 薬に関する専門家の存在が、他の医療スタッフの負担を軽減します
  • 治療や薬剤投与に対して病院内での標準治療の確立や医療安全が向上します

チーム医療の一員として活躍するためには薬剤師としてかなり高度な知識が必要となります。

そのため、病院薬剤師会・薬剤師会、各学会には「専門薬剤師」「認定薬剤師」といった一定の水準を満たした証としての資格取得のプログラムが設置されています。

例えば、がんの治療に深く係わるチームに参画するためには「がん専門薬剤師」が任命されやすいのが現状です。

チーム医療に係わっていくためにはスタッフから患者さんから信頼される前提に資格取得が必要となってきています。やる気だけでは活躍できないのです。

病院薬剤師、薬局薬剤師それぞれの立場から

パズルを持つ二人

病院におけるチーム医療

病院薬剤師の業務には主に2つあります。
外来患者さんに対する投薬と入院患者さんに対する服薬指導です。

薬剤師免許が必要な業務は、診療報酬の点数として対価が与えられます。
そのため、業務としてチーム医療を遂行していくためには診療報酬上点数となっていることがとても重要です。

具体的に診療報酬で点数となる病棟業務は、薬剤管理指導料(1及び2)と病棟薬剤業務実施加算(1 及び2)です。

・投薬前における患者に対する業務、医薬品の情報及び管理に関する業務、医療スタッフとのコミュニケーションを⇒病棟薬剤業務と呼んでいます。

・投薬後における患者に対する業務を⇒薬剤管理指導業務と呼んでいます。

病院の規模や機能によって多少の差はありますが、病棟専任薬剤師が病棟に駐在して投与前・投与後の業務を通して質の高い業務を提供できるようになっています。

そして、薬剤師による病棟業務の目的の中にチーム医療の推進が掲げられています。

薬剤師の病棟における業務を通して、下記のアウトカムを得ることを目的と する。
(1) 入院患者に対する最適な薬物療法の実施による有効性・安全性の向上
(2) 疾病の治癒・改善、精神的安定を含めた患者の QOL の向上
(3) 医薬品の適正使用の推進による治療効果の向上と副作用の防止による患 者利益への貢献
(4) 病棟における薬剤(注射剤、内服剤等)に関するインシデント・アクシ デントの減少
(5) 薬剤師の専門性を活かしたチーム医療の推進

薬剤師の病棟業務の進め方(Ver.1.2) 平成28年日本病院薬剤師会資料

薬局におけるチーム医療

チーム医療の波は地域に密着している調剤薬局へも浸透してきました。

今までの調剤薬局の多くはクリニックや病院の門前に位置した立地で処方箋の調剤業務をひたすらさばくような状況でした。

しかし2025年になると、日本は超高齢化社会を迎え、病院のベッド数は足りなくなり、急いで体制を整えないと医療システムの機能不全が起きてしまいます。

病院は既に機能分化が進んでいますが、薬局には機能分化が行われていませんでした。

そこで、2年毎に行われる調剤報酬時にかかりつけ薬局・薬剤師制度を制定して薬局の機能分化が着手されています。
薬局におけるチーム医療とは「地域包括ケアシステム」のことです。

患者さんの住み慣れた地域や自宅で療養が続けられ、自分らしく暮らせる仕組みとなっています。

特に在宅医療に携わっている薬局は積極的なチーム医療参画が必要とされていくでしょう。

<地域包括システムのイメージ図>

多職種連携によるチーム医療
調剤薬局共栄堂

今後のチーム医療のあり方とは?

複数の白いドアと黄色いドア1つ

2018年4月から施行される調剤報酬では「地域支援体制加算」という新しい加算点数が設置されました。
点数は、35点=350点です。

これは現行の基準調剤体制加算を廃止して新しく設置したものです。

この加算を算定するためには、一定以上の開局時間や医薬品の備蓄、24時間体制、在宅医療に対する体制、在宅療養を担う医療機関・訪問看護ステーションとの連携、医療安全取り組み実績が必要となります。

加えて、地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績も必要でかなりハードルが高いです。

毎回の調剤報酬の改定で、地域包括医療が実施しやすいように加算点数が制定されています。

加算点数の制定は国から後押しということを意味していますので多くの薬局関係者が注目しています。

約10年ほど前に日本にチーム医療の概念が初めて導入され、最初に病院にチーム医療が浸透し、その後薬科大学の6年生が卒業し、時代は地域包括医療を中心に語られるようになりました。

病院内のチーム医療が地域という大きな舞台に浸透しようとしています。

今後は、薬局の機能分化が進み薬局に勤める薬剤師にも高度な知識が必要とされていくでしょう。

薬剤師の多くは女性で、出産や育児により一旦職場を離れる人が多く居ます。
しかし、国は薬剤師に高度な知識や地域医療への参画を推進しており、現実と理想の間で悩む薬剤師が今後増えていく可能性があります。

女性として出産や育児を通し薬剤師としてのキャリアも継続する事は、並大抵ではありません。
自宅の近くに実家の両親がいるなどのサポートあるいは会社の福利厚生面がしっかりしているなどがないと両立は難しいでしょう。

後期高齢化社会における薬剤師としての理想のあり方と、女性の仕事と家庭の両立という現実にはかなりのギャップがあります。

このギャップをどのように埋めていくかが今後のポイントとなるのではないでしょうか。

まとめ

チーム医療は病院内から地域医療へと普及しています。

昔ながらの病院内ヒエラルキーによる人間関係・部署間の対立が患者さんに悪い影響を与えるとされ、システム欠陥の解決策として積極的に推進されました。

次第に「チーム医療」は標準的な概念となり国からも後押しされ、現在は地域包括医療の中でのチーム医療が推進されています。

瞬く間に医療関係者によって普及されたチーム医療ですが、チーム医療の一員として機能するためには薬剤師としての資質向上が必須です。

高度な知識を有していると表明できる「専門薬剤師」「認定薬剤師」を取得する必要性も出てきました。

一昔前のように、調剤をしていれば生き残れるような時代ではなくなりつつあります。

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