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幅広くかつ密接に住民の医療に関わる「プライマリ・ケア」とは

更新日:

ミニチュア車椅子に座る男性と付き添う女性

高齢化社会に対応するため地域医療・在宅医療が注目される今、幅広くかつ密接に住民の医療に関わる「プライマリ・ケア」という考え方が広まっています。

薬剤師の中には認定薬剤師資格の名前として「プライマリ・ケア」を知っているという方も多いのではないでしょうか。

実は「プライマリ・ケア」にはハッキリとした定義が決まっておらず、実に説明しにくい言葉です。

しかし、これからさらに高齢化が進む日本において、在宅医療やプライマリ・ケアはいっそう注目され必要とされていくことは間違いありません。

そこで、注目の「プライマリ・ケア」そして「プライマリ・ケア認定薬剤師」について詳しく見てみましょう!



「プライマリ・ケア」とは身近で気軽に親身に相談できる医療

プライマリ・ケアを最も的確に定義した言葉は、米国国立科学アカデミー医学部門によって発表された以下のものと言われています。

primary careとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである

日本プライマリ・ケア連合学会-プライマリ・ケアとは?

通常私たちは風邪であれば内科、腰痛であれば整形外科など、症状に合った診療科を受診しますよね。

医師という職業は専門性が高く、適切な医療機関には診断のために必要な機器なども揃っていますので、本来はそのように症状に合わせた病院を受診するべきです。

ただ症状ごとにあちこちの病院に行くのは大変だし、毎回相手が変わっては医療者との信頼関係も築きにくくなります。

特に高齢者にとって複数の病院にかかることは身体への負担がかかりますし、顔なじみでない医療者に相談しにくいと感じる高齢者はかなり多いもの。

そこでプライマリ・ケアとは専門性が高かったり生命の危機がある緊急事態を除いて、固定の身近な医療機関に相談することを推奨した考え方です。

最近では「家庭医」と呼ぶこともありますね。
昔の表現で言えば「町医者」です。

多くの場合プライマリ・ケア導入の医療機関や家庭医では、在宅医療を取りいれています。

普段は身体の全ての不調に対して同じ医療機関を受診し、必要であれば専門医に紹介してもらいます。
それにより患者の利便性が上がりますし、医療者との信頼関係も高くなるため治療効率が高くなります。

プライマリ・ケアに関わるのは医師だけではなく、看護師や理学療法士など患者の健康を支える医療従事者全てです。
もちろんそこに薬剤師も加わることになり、患者を中心として地域医療を支える形が「プライマリ・ケア」となっているんです。

「プライマリ・ケア認定薬剤師」とは、地域医療・在宅医療に欠かせない知識を備えた薬剤師のこと

山積みされた大量の本

在宅医療に関わっている調剤薬局はどんどん増える傾向にあり、在宅の仕事は認定薬剤師の資格がなくても行うことができます。

薬の説明・管理などは薬剤師であれば当然できますが、患者を「診る」という点においては、全く自信がないという薬剤師が大半ですよね。

もちろん医師ではないので「診察をする」という意味ではありませんが、在宅医療やその他地域住民と関わるイベントや相談窓口などで住民から相談を受けたときに、症状や状態を見る力がないと、薬剤師の知識を活かすこともできません。

在宅業務や地域住民の健康を支える仕事に就くためには、シッカリとした基礎知識が必要ということです。

プライマリ・ケア認定薬剤師の取得には講座出席による単位が必要ですが、その講座内容がかなり充実しています。

研修認定薬剤師の研修単位は医師向けの講座へ出席してももらえるので、実質薬剤師的にあまり実になっていないこともありますよね。

それとは違いプライマリ・ケア認定薬剤師研修は、薬剤師にとって実践的な知識をつけることができる講習会です。

例えば以下のような内容を学ぶことができます。

  • 包括医療に対する基礎知識
  • バイタルサインの取り方
  • 認知症患者とその家族への関わり方

プライマリ・ケアの基本は在宅医療となるので在宅での薬剤師の仕事に対する
内容が多いですが、患者とのコミュニケーションなど薬局内の仕事にも生かせる内容や、災害時の対応などいざというときのために確認しておきたい知識まで講習内容は様々。

これらの講習を受けてプライマリ・ケア認定薬剤師となった暁には、医師や看護師・介護士などと連携し、地域医療を支える様々な仕事に関わることになりますね。

単なる薬の知識だけではチーム医療であまり必要とされない…なんて場面もあった薬剤師ですが、プライマリ・ケアの知識を加えることで薬の情報を他職種との連携に生かしやすくなり、薬剤師の活躍する場が増えるということです。

プライマリ・ケア認定薬剤師までの道は遠く大変。強い使命感とやる気が必要

それでは具体的なプライマリ・ケア認定薬剤師の取得方法をご紹介します。
新規認定と更新では内容が少し異なるので、それぞれ見てみましょう。

新規認定の場合

研修開始届出書をプライマリ・ケア連合学会事務局担当係に郵送で提出

研修認定薬剤師の講習は好きなときにスタートして構いませんが、プライマリ・ケア認定薬剤師の認定を受けようとする場合には、初回の講習を受ける前に申請が必要です。

初回の講習から4年間以内に、50単位を取得

そのうち30単位以上は学会関連である必要がありますが、インターネットを利用したeラーニングシステムの単位も15単位まで申請可能です。
基本的に1単位は90分となっているので、合計で4500分(75時間)かかります。

ちなみに1単位の受講に11,000円前後(プライマリ・ケア連合学会会員は9,000円前後)かかります。

プライマリ・ケア連合学会(年会費10,000円)に所属していればeラーニングの受講は無料です。
地方開催の薬剤師向け講座などは無料で開催されていることもあるので、上手に利用したいですね。

単位認定の講座情報については研修開始届出書提出後に教えてもらえますし、プライマリ・ケア連合学会のHPでも確認可能です。

審査・試験

50単位集め終わったら正しく単位を取得できているか審査を受け、さらに筆記試験を受ける必要があります。
合格率は公開されていませんが、研修をシッカリ受けていればそれほど難しくはないようです。

審査と試験を受けるために必要な費用は15.000円(学会員10,000円)です。
試験は1年に1回東京で行われます。

試験合格となれば登録料10,000円を振り込み、晴れてプライマリ・ケア認定薬剤師となります。

更新の場合

プライマリ・ケア認定薬剤師は、3年ごとの更新が必要です。

初回認定または前回更新から3年以内に、30単位を取得

30単位のうちプライマリ・ケア連合学会指定の講座が20単位以上必要、eラーニングシステムでの単位は15講座までなど細かい規定があるので、その都度確認するようにしましょう。

各年5単位以上の取得が条件なので、3年目にまとめて30単位取得などはできません。
コツコツ勉強を続ける必要がありますね。

講座受講報告書・事例報告書を提出

送り先は初回認定と同じ日本プライマリ・ケア連合学会です。

事例報告書とは日常業務の中で得たプライマリ・ケアの体験をレポートにしたもの。
「特別な内容である必要はない」ということなので、普通に仕事をしていれば問題なく作成できるものです。

事例は5件分必要となるため、日ごろからどの事例をレポートにしようか考えておく必要がありますね。

報告書の内容に問題がなく審査に通過となれば、審査料15,000円(学会員10,000円)を振り込んで完了です。

プライマリ・ケア認定薬剤師が働く職場は病院や調剤薬局、給与はそれほど変わらない

希望への道

認定を受けるために手間もお金もかかるプライマリ・ケア認定薬剤師。

ざっと計算して受講する講座によりますが、新規認定で20万円~25万円、更新で10万円前後くらいかかります。

それほど大変な思いをして認定を受けても、実は給与はあまり変わりません。
働く職場も病院や調剤薬局がメインと、特に代わり映えはしません。

実際には他の薬剤師よりも在宅医療・プライマリ・ケアに対する知識を多く持っており、患者さんへの対応能力もかなり高いはずなんですが、まだまだそれほど重要視されていないのが現状です。

プライマリ・ケア認定薬剤師へ特別手当をつけている病院・薬局などはほぼ見たことがありません。

多くの認定薬剤師に当てはまることですが、認定薬剤師資格は自分のスキルアップが目標であり、給与に影響することはあまりないです。

小児薬物療法認定薬剤師であれば小児科、がん薬物療法認定薬剤師であればがん専門病院などに就職しやすくなるのは間違いありませんので、働きたいと思う診療科や領域があるなら目指してみるのは良いですね。

プライマリ・ケア認定薬剤師も在宅医療に力を入れている病院・診療所への就職率は上がるでしょう。
病院未経験の薬剤師が病院に転職するのは結構難易度が高いので、どうしても病院の仕事がしてみたいと思うなら、転職活動の傍らプライマリ・ケア認定薬剤師を目指すのも良いですね。

また、プライマリ・ケアはこれからもっと必要とされる領域です。

高齢化がさらに進み、地域全体で住民の健康を支える必要性がどんどん高まるからです。

そうなればプライマリ・ケア認定薬剤師資格の重要度は上がりますので、今のうちに取得しておくと将来働きやすくなることは間違いないです。

今から在宅医療に関わっておくことも、将来周りの薬剤師と差をつけることになりますので、そういった意味では将来の給与アップにつながるとも言えますね。

まとめ

地域医療・在宅医療に関わる薬剤師にとって、プライマリ・ケア認定薬剤師は目指すべき認定資格です。
取得のために受ける講座内容は必ず日常業務の役に立ってくれます。

ただ認定を受けたからと言って特別な職場に就職できたり、給与が上がるわけではありません。
得られるのは「自信」と「知識」そして患者さんや他医療従事者からの「信頼」ですね。

プライマリ・ケア認定薬剤師の取得まではハードルが高いと感じるけど内容が気になる…という方は、とりあえずプライマリ・ケア連合学会指定の講座に出席してみるのはいかがでしょうか。

プライマリ・ケア認定薬剤師を目指してなくても受講は可能ですし、実践的な知識をつけることができるとても濃い内容となっています。

気になる方は日本プライマリ・ケア連合学会をチェックしてみてくださいね!

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