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臨床薬剤師ってなに?日本とアメリカの薬剤師の違い、由来や仕事内容まとめ

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データ入力する薬剤師

最近では薬剤師の求人情報・転職情報のサイトに必ずと言っていいほど「臨床薬剤師」という言葉や仕事の内容が書かれています。

「臨床薬剤師」というのは、認定・専門薬剤師制度とは関係なく、薬剤師の業務場所を示した呼称といえるでしょう。

薬剤師間でよく使用する薬局薬剤師・病院薬剤師に近い言葉です。

高齢化社会が到来し在宅医療が地域に浸透してきたら在宅薬剤師という呼称もできるかもしれませんね。

今回は、今話題の「臨床薬剤師」の呼称の由来や仕事内容について解説します!

臨床薬剤師とは?

臨床薬剤師の言葉の由来について

最近、薬剤師関連のサイトを開くと必ずと言ってもいいくらいの臨床薬剤師とは?など概要が書かれているのを目にします。

この臨床薬剤師という言葉は日本の薬剤師にとって馴染み深い呼称ではなく、ましてや一般の人には全く知られていません。

異業種の人に自己紹介をする場合、「薬剤師をしています」「薬剤師です」と言います。

その後、相手から「病院ですか?薬局ですか?」と尋ねられたら「薬局薬剤師です」「病院に勤務しています」など勤務場所を追加するという流れが大半で、「臨床薬剤師です」とは誰も言わないでしょう。
 
しかし、場所設定を日本からアメリカに移して考えてみましょう。

同じように自己紹介の場面を想定します。
相手から「Hospital?Drugstore?」と尋ねられたら「Community pharmacist」「Clinical pharmacist」と答えます。

これは日本語で「薬局薬剤師です」「病院薬剤師です」と同じ意味合いを持っています。

要するに、アメリカでは病院で働いている薬剤師の事をClinical pharmacistと言います。
clinical pharmacistを日本語に訳すと 臨床の薬剤師ですのでこれが臨床薬剤師の言葉の由来です。

日本とアメリカの薬剤師の違い

アメリカの薬剤師の呼称について

先ほどの由来にも出てきましたが、アメリカの薬剤師にはCommunity pharmacist、Clinical pharmacistという呼称があります。

Community pharmacistsとは?

Community pharmacistsとは、薬局薬剤師のことを示します。

アメリカには大手のドラッグストアチェーンや中小の薬局などがあり、大手ドラッグストアの中でも有名なのはWalgreens、CVSなどです。

ドラッグストアの奥に処方箋調剤を行うPharmacyがあります。

WalgreenのPharmacy Green Campus CSU Long Beachより写真引用
薬局

Walgreenの処方箋受付窓口の様子 Indy starより写真引用
処方箋窓口

OTC医薬品の売り場の奥に処方箋調剤を受け付けるコーナーがあります。

日本の調剤併設ドラッグストアと似ています(勿論、日本がアメリカのドラッグストアをモデルにしています)。

アメリカでは多くの人が家の近所にあるドラッグストアへ言って病気のことや健康上の不安を薬剤師に相談します。

なぜ気軽に行くかというと相談が無料だからです。
皆保険制度がないアメリカでは病院で治療を受ける=高額なため行きたくても行けない場所なのです。

インフルエンザの予防接種を受ける時にもドラッグストアに行きます。

Walgreenでのインフルエンザワクチンの予防接種の様子 Chain Drug Reviweより写真引用
インフル注射

次に、病院の薬剤師(Clinical Pharmacist)の業務内容も見ていきましょう。

Clinical Pharmacistの業務について

病院で働きたい薬剤師と薬局で働きたい薬剤師とでは卒後に受けるプログラムが異なります。

病院勤務希望者は、病院でレジデンシープログラムを修了させる必要があります。
(薬局勤務希望者は大学卒後すぐに働けます。ただし、州によっては異なる場合もあります)

レジデンシーとは、日本の医師が卒後に受ける研修者のことで別名インターンとも呼んでいます。

  • 1年目:全般的な内容のプログラム
  • 2年目:外来、内科、心臓病学、薬物情報学、救急医療学、老人病学、感染症学、情報科学、マネジドケア薬局システム、薬物使用安全学、核化学、栄養サポートなど

アメリカの病院薬剤師は、基本的にチーム医療の一員です。

そのため医師の病棟回診には薬剤師も同行しますし、担当診療科や病棟のカンファレンス(治療方針会議)にも参加します。

患者さんからのヒアリング、関係スタッフからの情報をフィードバックすることは勿論、薬の投薬量の確認・薬物動態の確認・副作用の発現の有無・併用薬のチェックなどを行います。

当然、医師の指示が適量であるか適切であるかを確認し薬剤師として見解を述べますし、依存型処方の権限もあるためかなり知識とコミュニケーション能力が要求されます。

また、日本と異なりアメリカは皆保険制度ではないため各患者さんが入っている保険会社と協力して保険適応内を調べたり必要な薬を提案・提供しなくてはいけません。

ポジションによっては、テクニシャンと呼ばれる調剤技師や若い研修中の薬剤師の監督、薬歴簿等のドキュメント管理業務も行います。

参考日経DI「米国の薬局に勤め始めてから11年、転職活動へ」

アメリカの薬剤師が与えられている権限とは?

日本とアメリカの薬剤師は、社会的ステータスにおいても教育制度・給料に関しても日本のそれとはまったく異なります。

知識量は膨大でや医療関係者だけでなく患者さんからの信頼度も格段に高いといわれています。
それは、業務の深さと権限の幅がかなり広いからでしょう。

どのような権限が認められているのでしょうか?
具体例を挙げてみましょう。 

1.依存型処方権

依存型処方権とは、医師から権限の委任を受けて処方箋を書くことが可能です。
具体的には決められた範囲内で処方箋が書け、

  • ガイドラインに従って書く➡プロトコール型
  • 次の受診日までのDo処方➡反復型(リフィル)
  • 医師と薬剤師間で約束した内容の処方➡約束処方型

 などがあるそうです。

薬の中には薬物動態の計算が必要なものがあります。

抗凝固薬のワーファリン、喘息薬のテオフィリンなど、モニタリングによって投与設計します。

この辺りの計算間違いは許されないのでアメリカの薬剤師は責任重大です。

患者さんによっては何種類もの合併症があり薬物動態の計算は結構難しいと思われます。

2.インフルエンザ

インフルエンザ予防接種を実施することが可能です。

アメリカは州によって法律が異なるので州によっては他のワクチン接種も薬剤師が行う事が可能です。
 
1、2のように、日本の薬剤師には全く与えられていない「処方する権限」と「ワクチンを打つ権限」があったりするのです。

 

日本の臨床薬剤師とは

薬剤師の病棟業務

日本には皆保険制度があり、保険診療に対する保険点数が存在しています。

保険診療並びに保険調剤などの業務に対する評価は細かく保険点数に反映されています。
業務評価とは、点数=お金です。

病院や薬局の理念は博愛精神・地域貢献等さまざまですが、ボランティア活動ではありませんので経営者は診療報酬の点数に敏感です。

この業務を点数化は、国からいつの間にか評価されている訳ではありません。
薬剤師の病棟業務を診療報酬の点数に加えてもらうため、日本病院薬剤師会などの職能団体が国へ要望を出しているのです。

因みに、平成22年に厚生労働省からチーム医療の推進が通知されました。

「チーム医療の推進には薬剤師を病棟に専任させることが重要だ」として日本病院薬剤師会は病棟業務の評価を要望しましたが、残念ながら点数化されず見送りとなりました。

しかし点数化されずとも患者さんには必要な業務として、地道に活動を続けたことが実を結び、

  • 平成24年診療報酬改定では、週1回加算可能な病棟薬剤業務実施加算が新設(ただし、療養病棟又は精神病棟に入院している患者には入院した日から起算して4週間を限度)
  • 平成26年には、24年の※4週間の限度期間が8週間に延長されました
  • 平成28年には、特定集中治療室等における薬剤師配置に対する評価が増設(1日につき加算可能な病棟薬剤業務実施加算2)

このように毎回の診療報酬改定の度、薬剤師の病棟業務評価されるようになってきました。

しかし、平成24年の病棟薬剤業務実施加算の新設はおめでたいことでしたが、現場に混乱が起きました。

理由は、今まで病棟で行っていた薬剤管理指導業務と病棟薬剤業務をどう区分けすればいいのか分からなかったからです。

そこで、日本薬剤師会はガイドラインを示し、

  • ※薬の投薬前の業務 ⇒ 病棟薬剤業務
  • ※薬の投薬後の業務 ⇒ 薬剤管理指導業務

と住み分けすることにしました。

具体的な業務内容をみていきましょう。

<病棟薬剤業務実施加算の業務内容>投与前の業務<

① 患者背景及び持参薬の確認とその評価に基づく処方設計と提案
② 患者状況の把握と処方提案
③ 医薬品の情報収集と医師への情報提供等
④ 薬剤に関する相談体制の整備
⑤ 副作用等による健康被害が発生した時の対応
⑥ 多職種との連携
⑦ 抗がん薬等の適切な無菌調製
⑧ 当該医療機関及び当該病棟における医薬品の投与・注射状況の把握
⑨ 当該病棟における医薬品の適正な保管・管理
⑩ 当該病棟に係る業務日誌の作成等
⑪ 病棟薬剤業務実施加算を算定できない病棟又は治療室においても病棟薬 剤業務を実施するよう努める。

日本病院薬剤師会「薬剤師の病棟業務の進め方 (Ver.1.2)」

<薬剤管理指導業務の業務内容>投与後の業務

① 薬歴の確認
② 処方内容の確認
③ ハイリスク薬・麻薬等への対応
④ 患者等への説明と指導等
⑤ 退院時指導
⑥ 薬剤管理指導記録簿の作成

日本病院薬剤師会「薬剤師の病棟業務の進め方 (Ver.1.2)」

日本の病院薬剤師は診療報酬に設置されてある業務の実施を通じて、病院経営に貢献し患者さんにも貢献できるようになっています。

この業務内容は、アメリカの病院薬剤師をモデルにされており、日本仕様にカスタマイズされています。

日本では、まだ具体的に臨床薬剤師とは?と言われても厳密な条件や認定制度があるわけではありません。

しかし、病棟に専任されている薬剤師、又は病棟薬剤業務実施加算や薬剤管理指導業務を実施している薬剤師、専門薬剤師として活躍している人は臨床薬剤師なのではないでしょうか。

今後の日本の薬剤師に求められている事とは?

チーム医療という概念が定着する前までは、病院の薬剤師は調剤室から出ることはありませんでした。

しかし、薬学部の6年制により薬剤師が臨床現場(病棟)に入るのは当然の風潮となり、国からチーム医療の推進を呼びかけられたことで、薬剤師に求められる仕事に変化が起きてきました。

その変化を柔軟に対応するために選ばれたのがアメリカの薬剤師でした。
しかし、保険制度・文化・人種・教育制度も異なります。

そのままそっくり輸入するがごとくに導入はできません。
そのため、アメリカ的な教育システムや概念を咀嚼し、診療報酬の点数になるようにカスタマイズする方法で上手く導入しています。

日本は、2025年に大きな医療改革を迎えます。
その改革を乗り越えて成功した暁には、世界中の関係者から賞賛されるでしょう。

現在、日本の医療は諸外国から良くも悪くも注目されています。

理由は主に2つあり、1つは「日本は皆保険制度を維持できるか?維持できなくなるか?」、2つ目は「超高齢化社会をどう乗り切っていくつもりなのか?成功するのか?失敗に終わるのか?」です。

これら2つは、多くの国にとっても懸念事項の様で日本はどのように対応していくのか?と、動向を興味深く観察しているそうです。

これからの薬剤師には、病院薬剤師・薬局薬剤師といったカテゴリーではなく、薬薬連携を通じて協力していくことが求められています。

日本薬剤師会では、「薬剤 使 適正 用のための施設間情報連絡書」を活用することを推奨しています。

この連絡書は、病院薬剤師と薬局薬剤師が情報共有できる、言ってみれば施設間薬剤師の交換連絡ノートのような機能を持っています。
もし、この薬剤 使 適正 用のための施設間情報連絡書を知らない人は一度フォーマットを確認しておくとよいでしょう。

参考薬薬連携について
参考薬剤適正使用のための施設間情報連絡書

まとめ

臨床薬剤師とはアメリカの病院薬剤師を示す「Clinical Pharmacist」を日本語訳したものです。

この臨床薬剤師について話題となっているのは、アメリカの薬剤師をモデルとした業務構築や変化が実臨床の現場から求められているからでしょう。

国が違うと保険制度・教育システム・与えられている権限などが大幅に異なるため、単純に比較して語ることはできません。

しかし、合理的な機能を持つアメリカスタイルを導入することで日本の医療現場がより活性化しよりスムーズに問題解決ができるだろうと期待されています。

アメリカの薬剤師が行っている業務内容を日本の実臨床に即した形で導入するためには、診療報酬の中に点数として設置される必要性があります。

診療報酬の中に点数として盛り込まれることが、全国民に提供できることに繋がるからです。
また、評価されて給料にも反映されるからです。

今後求められる薬剤師は、単にアメリカ式を導入するだけでなく、いかにして日本の風土や文化面に融合していくか?がポイントとなるでしょう。

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