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薬剤師が不足する?過剰になる?薬剤師の今後についての考察

更新日:

黒板に書かれた電球

資格業である薬剤師は、国家資格であるため世の中の景気に左右されにくいと言われています。

しかし、その時々によって薬剤師不足や薬剤師過剰論が流れます。
現場サイドはいつだって人手不足なのに・・・です。

果たして今後の薬剤師業界は、薬剤師過剰で職が失われていくのでしょうか?
はたまた最近話題のAI(人口知能)に職を奪われるのでしょうか?

今回は、データや現状を合わせ解説していきます。

薬剤師は現在人手不足!?

薬剤師として従事している人の多くは、日頃から人手不足を感じているのではないでしょうか?

有休を申請する際には気を遣う、求人を出しても新しい人がなかなか決まらない・・・。
このような状況は、貴方が勤めている薬局だけでなく全国的に見られる現象です。

現在、日本には57,000軒超の調剤薬局があると言われています。

まず、下記のグラフを見てみましょう。

保険薬局数と医薬分業率の年次推移
第一学習社 エデュカーレ

保険調剤薬局と医薬分業率の推移が示されています。
右肩上がりで、調剤薬局も医薬分業率も上がっているのが分かります。

調剤薬局数・薬剤師数の推移

調剤薬局数と薬剤師数の推移を見ていきましょう。

厚生労働省や政府統計のホームページから調べることができます。
医薬分業の進展平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査より引用

・1989年(平成元年)
薬局数:約36,000軒
薬剤師数:約145,000人
処方箋枚数:13,542万枚

・2016年(平成28年)
薬局数:約57,000軒
薬剤師数:約290,000人
処方箋枚数:77,558万枚

この30年間で薬局数と薬剤師数は倍に増え、処方箋枚数は6倍に増えてます。

なぜ人手不足を感じるのか?

薬剤師数はデータ的には、十分足りていると言われています。
それなのに、なぜ現場である薬局は人手不足を感じているのでしょうか?

理由①:薬剤師免許を持っている全員が調剤薬局に勤めているわけではない

約50%が薬局勤務です。
その他は病院や製薬会社など、また出産・妊娠で離職中の人もいます。

また、2年に1度、厚生労働省に薬剤師の届出書類を提出することになっていますが、提出していない人もいるようです。
正確な数字が出せていない可能性もあります。

理由②:医薬分業により処方箋枚数が激増した

処方箋数は平成元年に13,542万枚、平成28年では771558万枚です。

処方箋総数はこの30年間で約6倍に増えています。

今まで病院内で調剤していた分が、医薬分業により院外処方箋になった訳です。

分業が進むにつれて、薬局で働く薬剤師も増えました。
しかし、処方箋枚数の伸び率の方が、薬剤師人数の伸び率より高いのです。

理由③:新卒者を予定通りに確保出来ない

大手調剤薬局チェーンは、毎年何百人もの新卒予定者に対し内定を出しています。

しかし、薬剤師国家試験の合格率の低迷で、予定していた人数を確保できずにいます。

理由④:地域差がある

各都道府県毎の薬剤師数を見比べてみると、人口に対する薬剤師比率に差があります。

当然、人口に対して薬剤師が多い地域では充足していて、薬剤師数が少ない地域では常時足りないという状況が続いています。

1店舗の平均薬剤師数を計算すると?

現在約29万人いる薬剤師の中で、約半数の人が調剤薬局に勤めているとします。
290,000÷2=145,000人

各調剤薬局には必ず1名の管理薬剤師が必要なので、薬局勤務者数から薬局数(管理薬剤師数)を引きます。
145,000-57,000=88,000人(薬局勤務薬剤師数-管理薬剤師=一般薬剤師)

この一般薬剤師88,000人を調剤薬局の57,000軒で割ると、1つの調剤薬局の平均一般薬剤師人数が出てきます。
88,000人÷57,000軒=1.54人

現在の1つの調剤薬局で働いている薬剤師の平均人数は、管理薬剤師1人+一般薬剤師1.54人=2.54人

以上から、薬局で調剤薬局で働いている人数は、正社員2人とパート1人なのです!

これが単純計算した、1つの薬局に従事する薬剤師の平均値です。

これでは、薬剤師が足りない!という現場の生の声も理解できますね。

薬剤師は将来的に過剰になる!?

薬剤師の需要と供給に関しては、国と薬科大学の関係なしには語れないでしょう。

医薬分業スタート地点に遡って考えてみます。

国の政策で医薬分業がスタートしてから、薬局は物凄い勢いで作られました。
薬局を建てるのは簡単です。

しかし、薬剤師が全く足りないという状況になってしまい、国は重い腰を上げ薬剤師育成の薬科大学を全国に増設することにしました。

では、大きな流れを見ていきましょう。

  • 1997年医薬分業スタート※全国に薬局が増え薬剤師数不足となる
  • 2003年薬学部新設の規制緩和
  • 2003年~2008年で28校の薬学部が新設される※2003年以前までは全国で29校。これに加えて28校となり全国で56校に。
  • 2006年薬学部6年生スタート
  • 2012年6年制過程の初の卒業者
  • 2013年厚生労働省科学研究班が将来の需要予測で薬剤師過剰となると発表

薬剤師過剰とならない説

国が薬剤師数に介入している!

医薬分業によって国が薬科大学を増設し訳ですから、本当に薬剤師が過剰となり市場が混乱するようになれば、薬科大学の定員や国家試験合格率を下げるのではないだろうか?という説です。

少子化の中、大学の収入源となっている?!

薬学部新設の規制緩和と共に、大学は少子化による大学経営難を乗り越えるため、採算の取れる薬学部を新設したという説です。

薬科大学を設立するためには、薬用植物園があればよいため案外簡単に作れます。
しかし、最近では3割の薬学部が定員割れという状況です。

また、学生の学力低下も危惧されており、6年間で無事に卒業できる割合や国家試験に合格率も伸び悩んでいます。

薬剤師過剰となる説

10~20年後には薬剤師過剰になる!

現在の現場の状況とは異なり、将来的に薬剤師は過剰となるという研究データが出ています。

今から20年後には10万人近く過剰となるとのことです。

調剤過程のオートメーション化

時代の流れを敏感にキャッチする会社は、早々にピッキングマシーンなどの機械を導入して、調剤過程をオートメーション化して人件費削減を進めています。

業界がM&A時代に突入する

医薬分業による調剤薬局ラッシュ時代は過ぎ、これからは大手調剤薬局によるM&A(買収と合併)時代を迎えると言われています。

これは、毎回の調剤報酬料引下げにより、経営が悪化する薬局が増えていくことが原因です。

大手によるM&A(買収と合併)により、薬局総数が減っていくだろうとも言われています。

また、経営者は人件費削減の為に、必要最小限の薬剤師しか雇用しないだろうとも言われています。

ポイント

薬剤師数の需要と供給が一致しなくなると、将来的には薬剤師過剰となることも考えられます。
しかし、調剤薬局の財源は国費の社会保障費が大半ですので、必要以上に薬剤師を輩出しないようにどこかの段階で人数調整が入る可能性があります。

薬剤師の需要とAI時代に向けて

<AIに仕事が奪われる!?>
近年、衝撃的なニュースを目にすることがあります。
ニュースやメディアを通して「AIに仕事が奪われる」という情報です。

つい先日には、三菱UFJは9,500人分の仕事自動化しました。
これは国内従業員の3割とのことです。

人工知能(AI)の導入などで徹底的に自動化を進めていく、という方針とのことです。

参考三菱東京UFJ銀行から「東京」が消える理由 MUFGでブランドを統一

今までは、会社の業績が不振で大量解雇が起こるのが一般的でしたが、これからは業績を伸ばすために人工知能(AI)やコンピューターを導入して、人件費削減を行うという時代を迎えるでしょう。

人工知能の進化により労働環境が変わり、代替される職業リストというのが出来上がっています。

その中でも、野村総合研究所と英国のオックスフォード大学の共同研究の結果が有名で、研究の結果ではなんと“日本労働人口の49%が10~20年後に人口知能に代替えされる”というものでした。

要は、労働人口の半分は、これから人口知能のAIがやってくれるようになるんですね。

参考日本の労働人口の49%、人工知能・ロボットで代替可能に 10~20年後 NRI試算

このニュースのなかでは、人工知能などによって代替される可能性が高い職業の例が挙げられています。
医療業界に従事する医療事務や診療情報管理士が入っています。

代替可能性が高い職業100
日本の労働人口の49%、人工知能・ロボットで代替可能に 10~20年後 NRI試算

反対に、代替される可能性が低い職業の例が以下です。

代替可能性が低い職業100
日本の労働人口の49%、人工知能・ロボットで代替可能に 10~20年後 NRI試算

薬剤師の仕事はなくなる!?

では、薬剤師の仕事はどうでしょうか?

薬事法で投薬時の服薬指導が義務付けられているので、法改定がなされない限り仕事がなくなることはないでしょう。

薬剤師の仕事が消滅することはないでしょうが、2025年には日本は超高齢化社会を迎え3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という社会になります。

この超高齢化社会に対応できるように、医療現場は変革を迫られています。

着々と機能改革準備がなされている訳ですが、その中でも特に期待されているのがICT(Information and Communication Technology:情報コミュニケーション技術)化です。

医療がICT化されると、患者情報がいつでもどこでも見れて情報共有ができるようになります。

薬局側が病院のカルテを見ることも出来るようになりますし、病院側が在宅や薬局のカルテや薬歴情報を見れるようになります。

ICT化が進むと、紙情報(カルテや薬歴、処方箋)は電子情報へと変わり、医療は地域包括型が主流となります。

今後10~20年で労働の約半分がAI(人口知能)に代替されるだろうという予想通り、医療業界もかなりの部分がオートメーション化され地域包括医療へと変わっていくでしょう。

今までは1つの薬局で仕事が完結できたイメージでしたが、これからは地域包括医療という大きなフィールドを舞台に「チーム医療の一員」として仕事をすることになるでしょう。

今後重宝される薬剤師とは?

今後10~20年後に薬剤師が直面する現象は、大きく2つあると考えられます。

1つは、薬剤師数が飽和する可能性から薬剤師過剰現象、もう1つはAI(人口知能)などのオートメーション化による人件費削減現象です。

前者は、過去に薬剤師不足を解決するために作られた薬学部増設ラッシュが原因で、後者は薬局だけでなく、世界全体の動向です。

薬剤師の需要と供給に関して、今後いろいろな情報が出てくるかと思いますが、基本的には薬事法が改定されない限り、薬剤師という仕事はなくなりません。
しかし、薬剤師の内部で、差別化が生じる可能性は十分にあります。

今後、重宝される薬剤師は上記に挙げた現象を乗り越えられる薬剤師です。

①平均的な薬剤師であるより、専門性を持っていたり何かに秀でている人

②単純作業は積極的に機械に任せ人間にしか出来ない事に力を注げる人

※①なるべく認定薬剤師や専門薬剤師を取得するようにしましょう。
※②機械化に戸惑わないように、最新の機械の操作方法などには、積極的に触れていくように心がけましょう。

時代に合わせて臨機応変に対応できる、柔軟性を持っている薬剤師が今後重宝されるでしょう。

まとめ

これから先10~20年で、日本は今まで経験したことのない超高齢化社会を迎えます。
と同時に新しい時代の象徴であるAI(人口知能)時代がやってきます。

薬剤師の需要は国の政策や時代のニーズに強く影響を受けるので、どこかの段階で調整が入る可能性があります。

この調整は、国による人数調整かもしれませんし、市場原理によるものかもしれません。

先のことは正確には分かりませんが、多くの患者さんに必要とされ支持される職業であればどんな環境下でも生き残れるでしょう。

薬剤師の一人一人が自分のお給料の大半が、国家予算の社会保障費から算出されていることを自覚して、自分が出来ることを日々行っていけば明るい未来があると思います。

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