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薬剤師も英語が必要?グローバル化が進む医薬業界では必須のスキル

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洋書の上で会話するミニチュアビジネスマン

この記事のポイント

  • 日本は国際競争力が年々低下しており小学生から英語教育が導入され始めている
  • 調剤業務には英語は必要ないが、それ以外の業界は国際化されており英語力が必要
  • 英語力が問われる求人で多いのは治験業界で、特にCROでは英語力が発揮できる
  • 専門英語の医療英語・薬学英語には、能力判定試験がある
  • 国際的な仕事がしたい薬剤師は思い切って医薬品開発の世界に飛び込もう!

近年のグローバル化に応じて、教育現場では小学生から英語カリキュラムの導入が始まっています。

文部科学省は2018年から、段階的に英語活動と英語科目を導入しています。
社会経済の国際競争が激化していく中で、英語の使える日本人を育成していくためです。

そんな中、皆保険制度が整っている日本の医療業界では、英語を使用とする仕事やコミュニケーション能力を必要とされる仕事は、数多くありません。

今回は、薬剤師で英語を使用する仕事や職場の紹介、またどのような試験があるかを解説します。

薬剤師に英語は必要か?

薬剤師と英語力

薬剤師に英語が必要か否かと問われると、「必要ではありません」というのが一般的な回答になります。

薬剤師の大半は調剤薬局や病院に就職をしているので、日本語だけで十分だからです。

そもそも、薬剤師免許は国から与えられる資格ですし、薬局等への就職時に英語力を問われることはありません。
基本的に薬の知識と実務が出来ればいいのです。

しかし、調剤業務以外の仕事に従事する場合や外資系などの場合は、英語は欠かせません。
英語は国際共通言語として重要な位置付けにあり、世界的にみても英語を母国語とする人や共用語・準共用語とする人口が多いからです。

アジアの中ではフィリピンが、唯一英語を公用語としています。

フィリピンでの英語教育は、基本的にアメリカンスタンダードが導入されており、2012年に行われたGlobal English社(米国)の 調査によると、フィリピン人の英語能力(ビジネス英語)は世界第1位でした。

フィリピンの人にとっては、読み書きそろばん並みに英語が当たり前なんですね。
その背景には、政府が国策として海外での労働を奨励していることも関係しています。

英語力を武器に給料が高い(アジアでは香港・シンガポール、他にはサウジアラビアやアメリカなど)へ行って仕事をしています。

国際競争力と英語力

日本が小学生からの英語教育を導入し始めたのは、国際競争に負けてしまうのでは?という危機感からでしょう。

先進国の生産ラインは物価・賃金が安い国へ移され、現地雇用が増えています。
当然、雇用が生まれると消費も増えて、経済は発展します。

一方、日本は賃金・物価共に高く今後は老人人口ばかりが増え続ける国です。
国内だけに目を向けると日本語だけで十分です。

しかし、これから20~30年後を考えると、同じ仕事でも日本国内より海外の方が高給となる可能性が高いです。

スイスにあるIMD(国際経営開発研究所)では、毎年国際競争率を調査しています。

指標は、経済成長・政府の効率性・ビジネスの効率性・インフラの4部門。
加えて、各分野の詳細な100項目程度の評価基準により、最終的にランキングが行われています。

現在の上位国は、アメリカ・シンガポール・香港です。
英語が得意なフィリピン人の出稼ぎ先と国際競争力上位国が一致しているのは、論より証拠ですね。

そして日本は、1980~90年は日本は世界1位でしたが、現在は26位~27位です。

参考かつては1位だった世界競争力ランキング、2015年日本は27位

因みに2016年のランキングでは26位でした。(The IMD World Competitiveness Scoreboard 2016より)

総務省でも「我が国における国際競争力の現状と課題」として、調査を行っています。

我が国産業のIMD国際競争力は1992年までは1位であったが、以降は下降傾向にあり2013年においては21位まで低下している。

我が国における国際競争力の現状と課題

今後の国際競争力を想像すると、日本の将来に楽観はできません。
長期的な目線を持つ人は、世界に目を向けた方がよいでしょう。

調剤薬局・ドラッグストア・病院で外国人対応はどの程度あるのか?

現実的に多くの薬剤師が携わっている調剤薬局やドラッグストア・病院では、外国人患者さん対応はどのくらいあるでしょうか?

現在、日本に住んでいる外国人の数は、約220万人程度と言われています。
その中で、体調が悪くなり病院に受診したり、薬局に処方箋を持参する人数を考えると、数はかなり少ないです。

しかし、大使館がある場所や外資系会社の近くの医療機関には、集中して外国人患者が来ます。

例えば、
アメリカ大使館のホームページには市民サービスというのがあり英語を話せる医師の一覧表があります。アメリカ市民サービス

病院ナビでは英語対応が可能な病院が検索できるシステムがあります。病院ナビ

プラザホームズ株式会社では外国人向けの英語対応可能医療機関が掲載されており、東京都内で英語が通じる薬局も紹介しています。

plazahomes English-speaking pharmacies in Tokyo
「Yakuju Pharmacy Roppongi Izumi Gardentional」、「Azabu Supermarket Pharmacy」、「The Pharmacy at Tokyo Medical and Surgical Clinic」など。

また、医療現場でよく英語を使用する病院(東京都)の代表例としては、「聖路加国際病院」と「国立国際医療センター」が挙げられます。

聖路加国際病院

聖路加国際病院では職員全員に、定期的に言語アンケートを行っています。
何語を話すことができるか?
コミュニケーションのレベル(流暢・日常会話など)はどの程度か?
これらの職員情報や言語能力の高い学生などが、データベース化されています。

世界中の国の言葉に対応できるような病院です。
また、患者さんは病院の国際課へ電話すると、通訳を依頼できるようになっています。

国立国際医療センター

国立国際医療センターには、国際医療協力局という部門が存在します。

国際医療協力局では、「地球上のすべての人々が健康な生活を送ることが等しくできるような世界を目指し、開発途上国の保健向上のために専門性を提供し、また我が国にその経験を還元する」というミッションがあり様々な活動を行っています。

国際医療協力局

英語力を生かす仕事の種類や業種とは?

さて、薬剤師として専門知識を持ちながら英語力をも生かせる仕事にはどのようなものがあるでしょうか?

英語の聞く力・話す力が必要な仕事とは?

  • 外資系製薬会社など外資の資本が入った企業
  • 国際病院など国際外来を持つ医療機関
  • 国境なき医師団などの団体
  • 医療通訳

英語を書く力・読む力が必要になる仕事とは?

  • 外資系製薬会社など外資の資本が入った企業
  • 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
  • 医薬品開発に関わる仕事

今回は、薬剤師としての専門知識と英語力が必要とされ、求人数が多い医薬品開発に関わる仕事について解説します。

医薬品開発に関わる仕事について

医薬品を開発している製薬会社は、今やグローバル企業化されています。

先日も、ニュースで製薬企業の英国アストラゼネカ社が、日本の第一三共㈱に買収提案していたことが明らかになりました。
参考英アストラゼネカ、第一三共に買収提案

この医薬品売上高ランキングからもわかるように、医薬品研究開発力のある会社は多くが外資系です。

2016年医薬品売上高ランキング

2016年 医薬品売上高ランキング

薬は、製薬会社の本社がある国でのみ販売されるわけではなく、世界中で販売されます。

海外の製薬会社の薬を日本で販売するためには、日本の薬事法やGCP規則に則って臨床試験を行い、厚生労働省に承認されなくてはいけません。

そのため、医薬品開発に関わる仕事では、必然的に英語力が必要とされます。

英語力を求められる薬剤師求人が多いのは?

英語力を求められる業務が多いのは

ずばり・・・・「製薬会社」と治験の「CRO」です!

製薬会社

医薬品開発費が潤沢にあり資本力もある製薬会社は、多くが外資系です。

しかし、日本の製薬会社も海外の製薬会社との共同開発や併売などを行っています。
そのため、プロジェクトによっては上司がアメリカ人だったり、海外支店への連絡にはメールも電話も英語となります。

特に、薬事部門では高度な専門英語が必要となります。
英語が必要とされる業務の中で、一番求人(中途採用)が多い部門でもあります。

薬事部門の中には、治験終了後に行われる薬事申請部門があります。
薬事申請部門では、新薬概要書(新薬の開発経緯から検証・治験データの報告書など)や添付文書など、国から新薬を承認してもらうための資料作成を行います。

治験薬概要書などは、参考文献に英語文献を用いますので、高い専門用語能力が問われます。

近年では治験過程を実施する上では治験に特化したプロフェッショナル機関である「CRO」に治験業務をアウトソーシングしています。

治験過程が終了したら製薬会社本社で薬事申請を行うという形式を多くの製薬会社が取っています。

CRO(受託臨床試験実施機関:Contract Research Organization)

CROは、製薬会社の治験業務をサポートする機関の事です。
製薬会社は、新薬治験を合理的・正確に実施するため、治験業務を専門会社であるCROにアウトソーシングしています。

治験業務には非常に高い専門性が求められるので、CROという治験に特化した会社に委託するのです。

CROの仕事は多彩で、下記のような仕事があります。

メディカルライティング
治験実施計画書や治験薬概要書など治験に関する書類作成をします。

CRA(Clinical Research Associate)
CRAはモニターと呼ばれています。
治験契約やモニタリング業務、CRF(症例報告書)チェック・回収など、治験実施医療施設と製薬会社間の手続き業務をを行います。
CRAは、医療機関の医療従事者とのコミュニケーションが必要なため多くの薬剤師が携わっています。

データマネジメント(DM)
症例データの管理を行っています。
CRAから集められたデータを管理・分析します。

クオリティコントロール(QC)
治験の質を検証する品質管理を行っています。
治験実施計画書を遵守して治験が実施されているか検証する仕事です。
このQCは、かなり高い英語力が必要と言われています。
理由は、医薬品の有害事象・副作用などを集積するため英語文献を読みこなし翻訳ができないといけないからです。
また、海外の取引先と英語で交渉する力も必須です。

安全性管理
医薬品に関する有害事象・副作用の収集・評価・報告を行っています。
この安全性管理の部門でも高い英語力が求められます。

CROでは英語力が求められる理由

治験に特化したCROでなぜ英語力が求められるのかというと、外資の製薬会社が多いという事と、国際共同治験が増加しているという背景からです。

国際共同治験が増えているのは、ドラッグラグの問題を解消するためです。

ドラッグラグとは
海外で承認されている医薬品が、日本で承認されるまでに時間がかかって使用できないという状況の事です。
この国際共同治験が増えることにより、必要としている患者さんに早く薬を使用してもらえます。

この国際共同治験は、世界で同時に治験をスタートさせるため、使用する言語は英語で統一されています。

薬剤師にはどのような英語が必要?試験はあるの?

薬剤師に必要な英語とは、医療英語と薬学英語です。

これは、TOFLEやTOEICとは異なる専門的な英語です。
これらの専門英語には、能力判定試験があります。

試験は、例として下記のものがあります。

仕事で求められる内容によりますが、交渉やコミュニケーションが必要な場合は、日常会話が問題なくできること。
学術的な仕事の場合は専門用語が理解できていることが重要です。

自分が目指す方向性に必要な語学力は何か?情報収集をしっかりして着実に実力を付けていくのがよいでしょう。

最後に

日本の調剤薬局やドラッグストア等で働く場合、特に英語力は必要ではありません。
薬剤師は日本国民の健康を守る使命があり、日本語が共用語だからです。

しかし、薬の調剤業務やドラッグストア以外の仕事では、英語力を問われる機会が多くなります。
製薬会社では合併が相次ぎ、外国資本の入ったグローバル企業が年々増えています。
また、教育や研究現場では、英語論文を読めないと仕事になりません。

特に、新薬開発部門の治験業務は、国際共同開発試験が中心となっています。
国際共同開発試験のため、英語力を必要とされる業務が多く、求人数も多いのが特徴です。

もし、英語に自信のある薬剤師、又は国際的な仕事に従事したい薬剤師は、思い切って医薬品開発の世界に飛び込んでみましょう!

1日24時間の大半を占めるのが仕事です。
好きな仕事を選ばないとなかなか長続きはしないものですよ。

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