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給与面で魅力的な管理薬剤師は、一般薬剤師と比べ責任範囲が広いデメリットも

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日本では1997年以降から医薬分業率が進み、現在では全国に57,000軒以上の調剤薬局があります。

薬事法には、調剤薬局毎(1拠点毎)に、管理薬剤師を設置することが定められています。
全国には薬局数と同数の管理薬剤師がいることになります。

今回は、管理薬剤師について届出などの法律的側面から定められている責務について、詳しく解説していきます。

医薬分業に伴う薬局数の増加

日本では、法的整備が整う前は病院で受診を受けて、病院内の薬局窓口でお薬をもらうという流れで調剤業務が行われていました。

昔は、薬価差益が非常に高かったので、病院経営的には処方すればするほど利益が上がり、製薬会社も比例して利益を拡大していました。

しかし、患者さんに不必要な薬剤を投与してしまう流れや、まだ自宅に残薬が残っているのに、医師に断れずに薬を貰って帰ってくるという慣習は、徐々に国の予算である医療費を圧迫することに繋がりました。

不要な薬を処方しない、残薬が残っていたら処方を見送る、適切な薬学的指導(複数診療科受診による重複投薬の確認・相互作用の有無・薬物療法の有効性など)を行うことが求められ、医薬分業が必要となりました。

医薬分業とは、患者さんの診察、および薬の処方と調剤をわけ、医師と薬剤師それぞれの専門性を発揮して、医療の質を向上する仕組みのことを指します。

医薬分業が世の中に認知されて進み始めたのは1997年以降で、2003年に医薬分業率は50%を超え、2017年2月には73%となりました。

参考日本薬剤師会 医薬分業とは処方せん受取率の推計

また、医薬分業率に伴い全国の調剤薬局数も右肩上がりに増えてきました。

実は、1997年に日本薬剤師会が策定した「薬局のグランド デザイン」では全国の調剤薬局の適正数は24,000軒でした。

しかし、2017年4月1日時点で全国の調剤薬局は57,643軒となり薬剤師会が策定した適正数の2倍に膨れ上がったのです。
と同時に、管理薬剤師も薬局同数の57,643名へと増えたのです。

管理薬剤師の届出と設置とは?

薬事法による管理薬剤師の設置

薬事法による管理薬剤師の設置について、該当する条文を見ていきましょう。

薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)(抄)

(薬局の管理)
第 八条 第五条第一項の許可を受けた者(以下「薬局開設者」という。)が薬剤師であるときは、自らその薬局を実地に管理しなければならない。ただし、その薬局において薬事に関する実務に従事する他の薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させるときは、この限りでない。
2  薬局開設者が薬剤師でないときは、その薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させなければならない。
3  薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。

厚生労働省:管理薬剤師等の責務の内容について

上記に示された様に、薬事法の条文に「従事する薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させなければならない。」とあります。

管理薬剤師の届出

次に、何を持って「私は管理薬剤師です!」と名乗れるか?という点を確認していきましょう。

例えば、新規で薬局を開設する場合は、様々な書類提出を行います。

具体的には、薬局開設許可申請書・薬局の業務の概要・薬局の構造設備の概要・薬局の平面図・申請者の医師の診断書、または次の診断項目に該当しないことを疎明する書面診断書の例示・薬局の管理者、およびその他の薬剤師・登録販売者の雇用契約書の写し等使用関係を証する書類などです。

この必要書類の中に薬局の管理者、およびその他の薬剤師・登録販売者の一覧表提出義務があります。

神奈川県の例を見てみます。

まず、神奈川県の公式ホームページがあります。
この県のホームページに薬局・店舗販売業等の申請・届出の手続きのサイトがあります。

管理薬剤師や一般薬剤師を登録する時には、「薬剤師又は登録販売者の一覧表(薬局用)」に記入して提出しなくてはいけません。

薬剤師又は登録販売者の一覧表

薬剤師又は登録販売者の一覧表(薬局用)

この表から分かるように、管理者とその他の薬剤師、または登録販売者は区別して記入しなくてはいけません。
この申請書類をもって管理薬剤師となります。

この「薬局の管理者及びその他の薬剤師・登録販売者の一覧表」の申請先は、薬局の所在地を管轄する保健福祉事務所、または保健福祉事務所センターとなります。
必要事項を記載して資格確認のため薬剤師免許証の原本を提示することとなっています。
薬剤師免許の提示は、管理薬剤師も一般薬剤師も原本提出が必須となります。

ポイント

  • 管理薬剤師は薬局毎に管理薬剤師を設置しなければならない(薬事法)
  • 管理薬剤師は届出申請を行わなければならない(所在地都道府県にて)
  • 管理薬剤師の届出申請の際には薬剤師免許証の原本提示が必須

管理薬剤師と薬局長は何が違う?

調剤薬局によっては、薬局長という名札を付けた薬剤師と管理薬剤師という名札を付けた薬剤師が、1名ずついることがあります。

この状況は傍から見ると混乱しやすいのですが、「管理薬剤師」は薬事法で定められた管理者のことを示し、「薬局長」は薬事法とは関係ない組織上の肩書きを示します。

管理薬剤師の法律的側面とは

薬局を開設する際には、薬局開設者と管理薬剤師が必要となります。

開設者が薬剤師の場合は、管理薬剤師を兼務することが可能ですが、そうでない場合はそれぞれを設置しなくてはいけません。
反対に設置できない場合は薬局を運営することは法律的に不可能です。

また、管理薬剤師には調剤業務の兼業が認められていません。
同じグループが経営している薬局へ「人手不足だからヘルプしに行こう!」と、人徳的によい心を持っても法律上禁止されています。

薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。

薬事法7条3項より引用

管理薬剤師は兼業(薬事に関する実務を自分が管轄する薬局以外で行った場合)により懲戒処分を受けることもあります。
注意しましょう!

ただし、管理薬剤師でも、薬事に関する業務(薬剤師免許を必要としない)以外であれば法律的に問題ありません。

例えば知り合いのレストランでレジ打ちのアルバイト、家庭教師のアルバイト、執筆などを行う場合です。
就業規則で副業が禁止されていないことを確認してください。

薬局長の肩書きについて

次に薬局長について説明します。

例えば、急な人事変更や退職者があったとします。
このような組織的に緊急事態が起きた際に、すぐ薬剤師を採用できればいいのですが、昨今の薬剤師不足を考慮するとタイミングよくポストの穴埋めは出来ません。

そこで重宝されるのがベテラン薬剤師です。
それも管理薬剤師のポストについていない、法律的に自由に動ける立場の薬剤師です。

この薬剤師の方が、肩書として薬局長となることが多いです。

会社によってまちまちですが、組織上薬局長というポストがある薬局があります。
肩書き名称は、薬局長であったりエリアマネージャーだったり、学術専門部の係長や課長だったりと様々です。

会社の人手が充足している際には、肩書きに即した業務(エリアの取りまとめなど)を行い、人手不足に陥った場合は人手を必要としている薬局へ調剤業務サポートに行きます。

管理薬剤師と薬局長の二人を用意することによって、よく問題に上がるのが給料です。

同じ年で同じ能力の薬剤師がいた場合を考えて見ましょう。

一方を管理薬剤師にして管理薬剤師手当を与え、もう一方が一般薬剤師で昇給なしとすると不公平感が生まれますし、士気が下がってしまいます。

そこで、組織として薬局長というポストを与えて昇給させることにより、給料面や待遇で不公平感を防いだりしています。

薬局長という肩書きと管理薬剤師を兼務している薬局組織もありますので、必ず二人必要ということはありません。

ポイント

  • 薬局長は、組織的な肩書きを示す
  • 薬局長は法律に縛られず、薬剤師業務の兼務が可能
  • 管理薬剤師は、薬事法によって定められた管理者を示す
  • 管理薬剤師は、法律上調剤業務の兼務は違法となる

管理薬剤師と一般薬剤師は何が違う?

管理薬剤師には薬事法によって定められた業務責務があります。

1、「管理」業務
●従業員の監督
・管理薬剤師以外の薬剤師、薬剤師以外の従業員が、適切に業務を行っているかどうか(例;接客、法令遵守、情報提供の適否)の監督
・薬学の専門的な知識が必要な事例等、従業員等ができない場合への対応
●医薬品等の管理
・店舗内の医薬品、その他の物品等(医薬部外品、化粧品等)を適正に管理
・医薬品と他の物品等(医薬部外品、化粧品等)を区別して貯蔵、陳列
・医薬品等が不良品とならないように、遮光、冷所等、適正な保管
・設備の不備等、問題があった場合、開設者に改善するよう意見具申
・不良品、不正表示品(例;有効期限切れ、表示不備品等)を発見し、処分

2、適正な使用のための「情報提供」業務(管理薬剤師自ら行うか又は他の薬剤師に行わせる)
・購入者の顔色等を見ながら、購入者の求めている医薬品が、不適当ではないかどうか判断
・医薬品を適正に使用するための服薬指導、情報提供を実施
・医薬品の購入者ごとに提供すべき情報の範囲を判断
・医薬品の購入者から、医薬品副作用の苦情や相談を受付
・一般用医薬品で対応できないと判断した場合、医療機関への受診を勧める
・コミュニケーションを通じ、副作用相談など、購入者のアフターケアを実施

3、その他(副作用情報の収集、報告等)
・必要な情報が常に入手、活用、提供できる体制を整備
・緊急安全性情報等、医薬品の有効性・安全性情報を収集
・厚生労働省への副作用情報の報告

厚生労働省:管理薬剤師等の責務の内容について

このように薬局の管理薬剤師は

  • 勤務薬剤師やその他の従業員を監督すること
  • 薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理すること
  • 薬局務全般に注意を払うこと
  • 薬局開設者に対し必要な意見を述べること

これらの責務が法律的に定められています。
一般薬剤師とは、責任の広さが異なるのです。

薬剤師の中で、管理薬剤師というポジションに対する印象は人それぞれです。
肯定的に受け止める人もいれば、否定的に受け止める人もいます。

しかし、大半の薬剤師が管理薬剤師になるのを避ける傾向があります。
その理由は、薬剤師の大半が女性だからです。

一般企業であれば、管理薬剤師への登用は出世でしょう。
しかし、元々薬剤師は資格業のため職も探しやすく転職もしやすいので、あえて苦労を選びたくないという意見が多く見られます。

具体的に管理薬剤師が敬遠される具体例としては

  • 厚生局からの監査対応当に伴う管理者としての責務
  • 誤投薬などの際の患者対応
  • 薬局全体の責任者としての責務

が挙げられるでしょう。
どれもストレスとなる可能性が高い業務ですね。

しかし、調剤薬局である程度の収入を確保しようと考える場合は、管理薬剤師を避けては通れません。
管理薬剤師には、管理薬剤師手当が付くからです。(一般薬剤師には管理職手当はつきません。)

この管理薬剤師手当は金額の幅が広く、1万円~10万円と言われています。
そのため、転職サイトで高年収が提示されている案件で、年収に50~100万円の差が出てくるのです。

一箇所の薬局での勤務を希望している薬剤師には最適です。
他のグループ薬局へ調剤サポートに行かされることはありませんし(法律違反となります)、運営や管理をする側なので、自分の理想に近い薬局作りに専念できるというメリットもあります。

ポイント
管理薬剤師のメリットとデメリット

  • 管理薬剤師手当が付く(幅は広く1万~10万円)
  • 法律的に他で薬事に関わる業務が出来ないためヘルプや異動がない
  • 薬局管理者として法律的な責任が生じる

一般薬剤師のメリットとデメリット

  • 管理薬剤師と比較すると責任は限局的
  • 法律的に自由に動けるため他店舗へのヘルプや異動がある
  • 管理薬剤師手当が付かないため大幅な昇給は見込めない

管理薬剤師は、魅力的だけどデメリットも

管理薬剤師は、薬事法で定められた薬局の管理者です。

1つの薬局には、必ず1名管理薬剤師を置かなければなりません。
組織でいう管理職ですので職能給は付きますが、責任に対する対価としてお金が発生するため薬剤師の中では賛否両論あります。

管理薬剤師にも一般薬剤師にも、それぞれのメリット・デメリットがありますので今の自分にベストな選択をしていきましょう。

ポイント

  • 薬局所在地管轄の保健所に管理薬剤師として書面で届出を行う
  • 管理薬剤師は薬事に関する実務を自分が管轄する薬局以外で行えない
  • 管理薬剤師には管理職手当(管理薬剤師手当)が付く
  • 管理薬剤師は厚生局等からの指導・監査に対応しなくてはいけない

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