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体験談|調剤薬局の立ち上げの際に事務さんの募集と定着で悩んだ話

更新日:

悩む女性

私は管理薬剤師として調剤薬局の立ち上げに携わりました。

コンクリート打ちの空の物件を元に、会社の立ち上げメンバーと建築士さん・業者さん一丸となって作り上げました。
管理薬剤師として、調剤薬局の立ち上げに携われたことは、とてもやりがいのあるよい経験でした。

しかし、物を作るのは楽しいですが、調剤事務さんの募集と雇用の定着に関しては試行錯誤しました。
今回は管理薬剤師として調剤薬局を立ち上げた経験と、調剤事務さんとの奮闘についてお話します。

新規の薬局の立ち上げ

全国にはコンビニエンスストアが約5万4千軒あるといわれていますが、調剤薬局はそれよりも多い5万7千軒です。

しかも、調剤薬局の業界は大手調剤薬局チェーンやドラッグストアのシェアが全体の約20%で、他の80%は中小の調剤薬局で成り立っています。

他の業界では大手のシェア率が高いので業界のリーダー的存在がありますが、調剤薬局の場合は大手調剤薬局チェーン10社をまとめても、シェアが20%程度なので業界リーダー的な存在がありません。

このような業界背景から、新規の調剤薬局を立ち上げる時のマニュアル的なものが存在しません。
各会社毎に経験値を元に、新規店舗オープンすることが多いのが現状です。

新規の薬局には大きく2パターンあり、既にあるクリニックや病院の門前薬局としてオープンする場合と、クリニックや病院と同時にオープンする場合とがあります。

私は、同時にオープンするタイプの新規立ち上げを行ったので、処方箋が平均何枚来るかもこの先どうなるかも未知数の状況でスタートしました。
そのため、薬剤師1名と事務1.5名という最小人数でオープンしました。

新規薬局立ち上げの場合、多くの会社は自社の薬剤師と事務とで、新規店舗に異動する社内異動の形を取ります。
稀に、外部から薬剤師を公募して新規店舗を任したりしますが、外部からの人を使うとどうしても会社の風土に染めるのが難しくなってしまい、治外法権になりやすいため敬遠されます。

私はグループ店舗数が約15店、関連店舗が50店の中小会社に所属しています。
新店舗へは社内異動でした。
事務さんに関しては人数が不足していたので、公募することになりました。

会社からの新店舗提案に了解したのは・・・
「自宅からますます職場が近くなること」、「クリニックと同時オープンだったので処方箋がすぐには来ないと予想」、「半年くらい暇暇だろうな。ラッキー」という下心があったから!です。

事務さんの募集を行うも・・・なかなか難しい現状

調剤薬局の事務さんは、一般的には転職エージェント等を通さずに、ハローワークや求人情報誌などを通して募集します。

1週間ほど求人広告を出すと、20名以上の応募がありました。
これが多いか少ないかは全く分かりませんが、「薬局事務は人気があるんだなー!!」という印象を持ちました。

しかし実際に面接すると、多くの面接者が薬局をコンビニのレジ打ちバイトの延長線上に置いていました。
当然、軽い感覚の応募者が多かったです。

20名以上の応募があっても経験者は2、3名のみ。
中には面接時に「医療関係は食いっぱぐれがないので、いいかしら~と思って」と平気で言うような人もいました。

経験者の中から正社員とパートを採用し、新店をスタートさせました。
最初の1週間は和気あいあいと、あっという間に時間が過ぎていきました。

しかし、1週間が過ぎたころから、経験者の事務さんの顔色が明らかに変わりました。
どうしたのだろうと思い声をかけてみると、「お給料が低くて生活が出来ないかもしれないです」と。

私は耳を疑いました。
面接時に人事課とその事務さんが、お給料交渉をしているのを見聞きしていました。
本人が希望した月給で決定したはずです。

一体何が起こったんだろう!?と不思議に感じました。

その後、私の方からは給料に関しては、触れずにいました。
しかし、仕事のちょっとしたことで声をかける度に、声をかけた話題とは関係ない事を言い出したり、

「給料が低い!!」と怒鳴るようになりました・・・。

時には、彼女からの愚痴が止まらず夜まで延々聞かされ、挙句の果てに目の前で倒れられたこともありました。

次の日、元気に出勤してきたので、昨日の目の前で倒れたのは演技だったのかな??なんて思ったりしました。
しかし、お金がこれほどまでに人を狂わすのを見たのは始めてのことで、・・ただただ呆然とするばかりでした。

事務さんの話では、

彼女は、日本の調剤薬局の大手トップ3に入る薬局で12、3年のキャリアを持っていました。
学校を卒業してすぐに調剤薬局の業界に入った人でした。

入社当時は、店舗に社長が足を運び社員を激励してくれるようなアットホームな薬局だったようですが、あれよあれよという間に会社が大きくなり、東証一部に上場しどんどん他社を買収して、いつの間にか大企業になってしまったそうです。

会社全体が以前のようにアットホームでなくなり、利益追求型へと急変したとのこと。
創業当時とは全くタイプの異なる薬剤師ばかりが入ってきて、意見がぶつかることも多くなり、仕事をしていてもつまらなくなった・・・というのが退職理由でした。

退職してからもどこかで調剤事務経験の経験を生かしたいと、半年ほどかけて薬局の面接を受け続けたようです。

しかし、どこからも内定がもらえなかったようです。
そんな状況を半年過ごしたので、面接時は必死だったようです。

面接時に給料のことを言ったら、今までみたいに話がまとまらないし内定がもらえないだろうと感じて、入職してからお給料交渉をしようと考えていた。とのことでした。

年収ベースでは、10年以上継続勤務した大手調剤薬局にくらべると、30万さがったようでした。

事務さんから細かく事情を聞いてみると・・・、確かに内定がなかなか貰えない状況なら、お給料の件はとりあえず入社してから交渉しよう!という発想もあり得るのかな?と感じました。

しかし、会社は組織なので一人に便宜を図ると不公平感が起きてしまい、内部分裂が起きてしまいます。
会社には賃金ベース表なるものが存在しますから。

入社して数年働いて実績をつんでからの給料交渉には会社側も譲歩すると思いますが、一旦決めた年収額を入社直後に変えてくれ!というのは難しい話だと感じました。
案の定、私の会社の人事課からも厳しい反応でした。

20名近くも面接をして経験者を採用しましたが、入社して僅か数ヶ月でその事務さんは退職していきました。

労働問題というのは非常に難しく、管理薬剤師が対応できるレベルの問題ではありません。

私の場合は信頼できる上司に囲まれていたので、一過性の労働問題で済みましたが、話がこじれたりすると現場の雰囲気に影響が出てきてしまいます!
問題が大きくなる前に、社内のしかるべき役職の人に相談するようにしてください!!

調剤薬局事務さんは年収で悩んでいる人が多いです

この経験から、調剤薬局の調剤事務経験者の中には、入社してからお給料交渉をしようと考えている人がいるという現実を見ました。

たまたま運が悪くて銭ゲハな事務さんだったとか、彼女のメンタリティーに問題があったわけではないと感じました。

それは、近年ニュースでもテレビでも取り上げられている言葉を、連想させるものに近かったからです。
言葉としては〝ワーキングプア〟〝老後破産〟〝格差社会〟〝年金問題〟です。

日本を代表する大企業が乱立する地域の最寄り駅では、朝から駅前でメガホンを持った労働組合が「派遣切り反対!!!」とデモを行っています。
今までは、労働問題に接点がなかったので対岸の火事でしたが、朝のデモの光景も今までと違って見えるようになりました。

東京都の場合は、23区で治安の良い場所は地代も生活費も高く、お給料が家賃や家のローンに消えてしまう現象が起きています。
独身者の場合は、セキュリティーの高いマンションに入った方が安心なので家賃相場がぐっと上がり、手取り給料の3-5割が家賃で消えてしまうという現象が起きています。

しかも、不思議な話なのですが年収が1,000万以上の世帯の中でも起きているといわれているのです。
収入と出費を考慮しないで高いタワーマンションを購入したら、いつのまにか赤字になっていたというようなケースです。

周りの薬局を見渡しても同じ会社の従業員を見ても、多くの調剤薬局の事務さんは扶養家族内のパートや実家から通う人によって構成されています。
子供の大学費用の捻出や老いた両親の医療が差し迫ると、調剤薬局に見切りをつけて別の職業を選ぶ事務さんは実際多くいらっしゃいます。

東京都の調剤事務員の平均年収は270万円~330万円が相場で月給は約18万から20万円前後だからです。

この年収を見ると、いろいろと考えさせられます・・・。

調剤事務さんに定着してもらうために・・・

私が担当した新店舗はオープンが急だったので、何が何でも人員を確保しないといけませんでした。
そのため、事務さんを採用と同時に正社員にしました。

これは会社の方針でしたが、選択の余地がなかったことが失敗の元でもあったような気がします。

私の所属している会社には、社内調剤マニュアルがあり、ヘルプ要員の薬剤師がどの店舗に行っても混乱しないようにしています。

しかし、調剤に関係ないローカルルール的なものは、各店舗の管理薬剤師が主となって決めてよいことになっています。
もし時間的な余裕がある場合は、すぐに正社員にしないで非常勤やパート期間を設けてお互い上手くやっていけるか、お試し期間を設けることをおススメします。

その後は、教訓を生かして会社と話し合い調剤事務さんの採用時には、以下のことに注意することにしました。

  • すぐに社員雇用しない。パートなどで試用期間を設けて様子を見る。
  • パート一定期間が終了したタイミングで両者間でよく話し合いをする。
  • 基本給与は会社の賃金表に則り、その他の手当に関しての譲歩はする。
  • 事務さんに仕事のテリトリーを持ってもらいやりがいを感じてもらう。(例えば、出納表作成や金庫管理は全面的にお任せする、など)

これらを意識して採用を繰り返した結果、調剤事務さんの定着率が高くなり処方箋枚数もどんどん増えていきました。
相乗効果で、薬剤師の人数も少しずつ増やすことが出来るようになりました。

新規薬局では投資費用を5年で回収するようなスキームを組みますが、運よく2年半で反転して黒字経営となりました。
関係者みんなでいろいろ乗り越えて、得られた結果だと思います。

新規オープン管理薬剤師は意外と楽しいかも!

管理薬剤師は大変そう、給料高そう、責任重そう、という印象があります。

これは、全部合っていると思います!!

しかし、どの職業でも管理職はそれなりに大変だと思いますので、何を優先順位にするか人生のそれぞれのステージで、臨機応変に変えていくといいのではないかなと思います。

因みに新規店舗のオープンは図面作成から入るため、家を建てる工程と全く同じ感覚です。

新しいものを作るのは非常に楽しいものです!「ここのカウンターはあと3cm広めに作ってもらおうよ!」とか、「壁の色はこの色にしよう!」「薬歴はスキャナー機能も付けちゃおうか!」など、アイディアが目に見える形で具現化していくので職場に愛着が沸きます。

今のご時勢、新規店舗オープンを任されるのは荷が重いかもしれません。

大手がどんどんM&A(吸収合併と買収)を行っていますし、診療報酬も確実に下がってくるからです。
しかし、もし有望な新規店舗オープンだったら、話に乗ってみるのもいいかもしれません!!

有望だとみなす基準としては、

  • クリニックの医師が若く大学の同門に所属している
  • 病院だったら経営難に陥っていないか、悪いうわさがないか
  • クリニックが在宅診療の拠点センターを併設しているか

などが考えられます。

私は、異動前にオープン後にすぐには患者さんも来ないだろうと「当分は暇暇な時間をすごせるわー!」と軽い気持ちで臨みましたが、結局なんだかんだとバタバタ暇ではなかったです。
一方、会社側は喜んでウハウハです・・・。

まとめ

薬剤師は小さな時から勉強をしてきて大学でも薬学部という閉鎖的な空間に身を置いているので、資格がなく生き抜いている人に比べて若干疎いところがあります。

そのため、突然従業員から「給料を上げろ!」とストライキされたら・・・どう対応してよいか分からず困ってうろたえてしまうかと思います。
管理薬剤師さんで同じような事で悩んでいる人がいたら、上司にすぐに報告して、しかるべきポジションの人に解決を委ねましょう。

また、局内の人間関係が上手くいかないときには思わぬミスにつながってしまい、責任だけを負わされてしまうことがあります。
調剤過誤だけでなく、カセッターに違う薬を入れていたり、薬局のセキュリティーボタンを押し忘れたり・・・一連の動作をうっかり抜かしてしまうことがあります。

このような事態は避けたいですが、まさかの出来事は生きている限り避けられません。
その対策として、会社として入る薬剤師の賠償保険だけでなく、個人でもタラレバ用に「薬剤師賠償責任保険」に入っておくことをおススメします!!

医師の場合も、病院としての保険だけでなく個人単位で複数保険に入っています。

外科医は、自分の手にも高額な保険をかけていますよね。
薬剤師は医師に比べるとリスクは低いですが、管理薬剤師をされている方は個人単位で入っておいて損はないです。

因みに、私は個人も入っています。

日本薬剤師会にもあります!
薬剤師賠償責任保険加入のご案内

ぜひ参考にしてください。

東京都 女性

中規模病院薬剤師を6年(総合病院の薬剤部)、国際病院にて国際共同臨床試験を7年(抗がん剤の新薬国際共同治験)に携わってきました。現在は調剤薬局にて勤務中です。
資格:薬剤師免許(保険薬剤師、認定薬剤師)、衛生管理者免許

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