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医療の最先端!治験業界に関わる薬剤師の働き方まとめ

更新日:

clinical trial

薬の候補物質が国から医薬品として、承認を得る目的で行われる臨床試験のことを治験といいます。

承認を得るまでには、いくつかのプロセスをクリアしていかなければなりません。
基礎研究、前臨床試験、臨床試験(治験)、承認申請です。

それぞれのプロセスに専門組織があり、プロフェッショナルの存在があります。

今回は、この治験業界に携わる部門の仕事内容、また薬剤師としての知識がどのように生かされるかなどをお伝えします。

薬の候補物質が医薬品として承認されるまでのプロセス

薬の候補物質が晴れて医薬品として承認されるまでには、基礎研究、前臨床試験、臨床試験(治験)、承認申請という大きな流れがあります。
全てのプロセスを1つ1つクリアしていかない限りは、医薬品として国から認められません。

治験は、主に製薬会社が国に医薬品として認めてもらう目的で行われる臨床試験であるため、製薬会社の研究開発費(総費用は約200-300億円と推定されます)によって行われています。

薬の候補物質が医薬品として承認されるまでの流れ

clinical trial
日本SMO協会

最初の段階の基礎研究と前臨床試験(非臨床試験)は、主に製薬会社で行われます。
臨床試験(治験)のプロセスに入ると、製薬会社と医療機関間で治験契約が締結され、医療機関にて治験が実施されます。
最後のプロセスは治験で得られたデータを元に製薬会社は国へ申請業務を行います。

これらの過程のそれぞれの段階に、多くの薬剤師が活躍しています。

基本的に治験業界で仕事をする際に、薬剤師免許を使用する業務はありません。
しかし、治験は新薬の臨床試験であるため薬の専門家である薬剤師免許保持者が多い業界です。

治験にかかわる薬剤師にはどのような仕事があるか?

製薬会社の治験関連部門について

製薬会社の新薬に関わる部門は大きく3つあります。

薬の候補物質を探索する研究部門、その後の治験である開発部門、国へ申請を行う薬事部門です。

研究部門に従事する薬剤師

薬剤師は学生時代から日々実験室で研究を行ってきているので、研究というのは身近な環境の1つです。

しかし、これを職業とするとなると話は別で非常に狭き門となります。
理由は、大学院卒や博士課程終了などの学歴に重点が置かれて採用がなされているからです。

研究職を希望する薬剤師の多くは学生時代から研究分野への志が高く、また研究に対する姿勢や投資額などの環境に関しても敏感です。
そのため、より理想的な研究環境を求めます。
中には国境を超えて転職する人もいます。

特に製薬会社の研究職の場合は、研究により生み出される新薬候補物質が最終的に薬となるため、研究者冥利につきます。
自分の関わった研究が、世界規模で長きに渡り多くの患者さんを助けることに繋がるからです。

開発部門に従事する薬剤師

製薬会社は薬を作る製造業(メーカー)です。
そのため開発部門は会社の要となる所です。

採用と共に開発部門に配属となる人もいれば、研究職からの異動やMRからの異動などによって配属されるケースもあります。

近年は新薬に対して安全性を非常に重視する傾向があり、必然的に治験段階で多くの症例数が必要となります。
そのため、開発費用と従事するスタッフを年々増やしています。

業務の具体的な内容は、治験薬概要書に基づいた被験者適格基準や除外基準の設定から始まり、治験実施医療機関の決定・治験契約・全国の治験実施医療機関にて適切に治験が行われているかなどのモニタリング作業等々、多岐に渡ります。

これらの業務の対応にはマンパワーが必要とされるため、CROという外部機関に治験開発のサポート業務をアウトソーシングしている製薬会社がほとんどです。
この開発部門業務に従事する者を臨床開発モニターCRA(Clinical Research Associate)と呼び、薬学部卒業の薬剤師が数多く携わっています。

研究職の場合、新薬の候補物質探索の成功率はわずか数%なので、一生に一度でも新薬候補物質に携われればラッキーだと言われます。
しかし、開発部門は1つの治験が約3年~7年という期間限定のプロジェクトであるため、1つ終わったら次の治験というように何回も新薬開発に携わることが可能です。

常に高いモチベーションの環境下でバイタリティーに溢れた仕事ができ、また治験内容によっては国内外の医療機関や関連施設等をを飛び回ります。
非常に華やかな部門ともいえるでしょう。

薬事部門に従事する薬剤師

製薬会社の治験に関わる部門の中で一番中途採用が多いのが、この薬事部門です。

薬事部門の中に、治験終了後に行われる薬事申請部門があります。

薬事申請書とは、国(厚生労働省)へ新薬の承認申請を行うための公文書です。

具体的には、新薬の概要(新薬の開発経緯から検証・治験データの報告書など)・添付文書など新薬を承認してもらうための資料を作成し、国からの質問に対しての回答を行います。
この業務は、薬の学術的な知識だけでなく、文章を書く能力も問われます。

新薬の場合は、参考文献や情報はほとんど英語の文献を用いるため、英語の読み書きは必須です。

新薬申請書類と共に国へ必ず提出しなくてはいけないものに治験薬概要書がありますが、この書類は日米欧の合意に基づいたCTD;Common Technical Documentという共通のフォーマットで提出することになっています。

参考PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)ICH-M4 CTD

また、外資系製薬会社の場合は海外との連絡や会議は、基本的に英語を使用します。
そのため求人条件に、TOEIC600~700点以上が求められます。

薬の専門知識があり、なおかつ英語が使える薬剤師が活躍している環境です。

製薬会社以外で治験関連の仕事について

臨床試験(治験)段階のプロセスに進むと、製薬会社以外の治験関係のプロェッショナルが加わります。

製薬会社以外が加わる理由は、治験を実施するには医療機関と契約を結ぶ必要があるからです。

この契約には、製薬会社と医療機関が直接契約締結する場合と、製薬会社と医療機関のそれぞれの業務をサポートする機関を加えて契約締結する場合があります。
ただし、数としては後者の方が圧倒的に多いのが現状です。

CROに従事する薬剤師

製薬会社の治験業務をサポートする機関のことを、受託臨床実施機関CRO(Contract Research Organization)と呼びます。

製薬会社内にも治験開発部門が存在し臨床開発モニター(CRA;Clinical Research Associate)はいますが、マンパワーの補充と治験を適正に円滑に実施するために、臨床開発モニターが多く所属しているCROに業務がアウトソーシングされています。

SMOに従事する薬剤師

治験実施医療機関側の業務サポートをする機関を、治験実施施設管理機関SMO(Site Management Organization)と呼びます。

SMOには、多くの治験コーディネーター(CRC;Clinical Research Coordinator)が所属しています。

大半の医療機関には研究や治験を扱う部署がないため、院内治験コーディネーターがいません。
そのため、医療機関側の治験業務のサポート役としてSMOに業務アウトソーシングしています。

治験に関わる仕事の中でも特に治験コーディネーターは、バックグラウンドの異なる医療資格者で構成されています。
看護師の割合が多く、次に薬剤師・臨床検査技師です。

治験事務局/治験審査委員会事務局に従事する薬剤師

事務局業務には、大きく2つあり治験事務局とIRB事務局があります。
それぞれの事務局が独立している場合と、治験事務局がIRB事務局を兼務している場合とがあります。

治験事務局はSMA(Site Management Associate)と呼ばれ、治験実施医療機関において治験申請書類を作成したり管理したりしています。
具体的な業務内容は、医療機関の標準業務手順書の作成・治験契約の手続き(費用の交渉等)・治験依頼者(製薬会社)の窓口業務と監査対応・規制当局からの実地調査対応を行っています。

治験審査委員会はIRB(Institutional Review Board)と呼ばれ、治験審査委員会の運営をする事務局です。
具体的な業務内容は 、IRB開催日程の調整・IRB審議資料を委員へ送付・委員会開催当日の進行サポート・IRB審査関連資料のファイル作成・IRB議事録の作成と保管を行っています。

これらの業務は基本的にデスクワークです。
治験コーディネーターが兼務していたり、病院内の薬剤部所属の薬剤師が兼務していたりします。

現場業務に直接影響が出ないため、家庭の事情でフルタイム勤務が難しい人や産休前後のスタッフ等が、一時的にこれらの事務局に配属されたりします。

薬剤師が治験業界で働くメリットとデメリット

メリットについて

治験は、製薬会社・CRO・医療機関・SMOという組織が協力して行う規模の大きなプロジェクトです。

治験はさまざまなバックグラウンドを持っている人々によって、構成されています。

それぞれのプロセスにカラーと特徴がありますが、一貫してどのプロセスにあっても、薬の専門家の薬剤師資格をもっていることは治験業界では信頼されます。
これは、治験業界に携わる薬剤師にとって大きなメリットといえるでしょう。

また、医療全体から見ると治験に関わる仕事は最先端です。
最先端医療に日々触れていると、積極的で建設的な発想になるため夢や希望を常に感じられます。

そのため、仕事からよい刺激を受けられます。
自分が関わった治験薬が晴れて医薬品として認可され、多くの患者さんに届くと非常にやりがいを感じることができます。

副次的なメリットとしては、治験業界は国際共同治験の割合が多くなっているため、業界全体がグローバル化されています。
諸外国とのやり取りも頻繁ですので、日本の組織に所属していても、グローバル化に対応できるように職場が、比較的早いスピードで変容されていく傾向があります。

例えば、諸外国との時差に対応するために、フレックス制は必要不可欠なものですし、女性がキャリアを構築しやすいように男女差を無くして、成果主義にするなど欧米の人事評価を取り入れている傾向が見られます。

また、治験を実施するためには、製薬会社の資本力が絶対的に必要ですので、製薬会社の従業員や治験関連の従業員は会社の福利厚生面に期待できます。

デメリットについて

治験業界は、新薬開発というグローバル化の中で、競争に勝たないと生き残れない厳しい世界です。
メリットがある反面、厳しい世界であるがゆえのデメリットも存在します。

日本では年功序列制の歴史から多くの企業が月給制を取り入れていますが、欧米では人事評価制度が成果主義のため年俸制を導入しています。
成果主義は、年俸制と目標管理制度とを連動させることによって、人件費と生産性によい効果をもたらすものです。

治験業界はグローバル化されているため、この成果主義の欧米的な考えを導入している企業が多いです。
しかし、日本には年功序列文化も根強く残っているため、人情的にやりにくいと考える人やドライすぎると感じる人も一定数います。

会社からは「早く正確に業績を」と求められても、現場は未だ昔ながらの日本の習慣や風習が残っているため、両者のギャップとの間で常で悩まされることも実情です。
また、成果主義であるが故のプレッシャーがあることも、デメリットとして挙げられるでしょう。

治験業界に向いている薬剤師とは

治験業界の特徴とは

医療は診療報酬によって対価を得ますが、治験は市場原理によって対価を得ます。

  • 省令GCPという治験のルールに沿って業務を進める仕事であること
  • 治験を行う製薬会社の開発費用によって人件費が支払われていること
  • 株式会社であること
  • 医薬品開発と製造販売はグローバル化されていること

これらが大きく異なる点です。

治験業界に向いている薬剤師

薬剤師の仕事の中で、薬剤師資格を使用せずに最先端医療に携わることが可能なのは治験業界です。

最先端医療に携わり新薬を、早く届けることにより患者さんの役に立ちたいと希望する薬剤師は、治験業界には非常に向いています。

具体的に挙げると

  • 調剤業務が苦手と感じる薬剤師
  • 英語が得意な薬剤師
  • 資本力のある企業で勤務を希望する薬剤師
  • 最先端の医療に携わりたいと希望している薬剤師
  • 世界を舞台に活躍したい薬剤師
  • 大きなプロジェクトの一員として仕事をしたい薬剤師
  • 学術的な仕事に関わりたい薬剤師
  • 自分の能力や業績が給料(年俸制)に反映されるのを希望する薬剤師

などです。

薬局での調剤業務を一人一人の患者さんに向き合う仕事とすると、治験の仕事はある疾患に苦しんでいる世界中の患者さんに向き合う仕事です。
どちらも世の中には必要な仕事です。

自分の体質にはどんな仕事環境合っているかを見極められると、快適な環境下でよい仕事をすることに繋がっていくでしょう!

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