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新薬開発のお手伝いをするCRCの重要な役割と仕事内容

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CRC

近年、薬剤師の資格を生かした仕事にCRCという職種も挙げられるようになってきました。
企業や病院に所属しながら治験をサポートする業務で、薬剤師免許を実質的に使用しません。

今回はCRCの仕事内容やどういう人に向いているかなどをお伝えします。

CRCとは?

CRCとは何か?

CRCとは、医療の専門資格や知識を生かし医療現場で治験の仕事をサポートする人を示します。

CRCは、Clinical Research Coordinatorの頭文字を取って略したもので、正確には臨床試験コーディネーターと訳すことができますが、通称「治験コーディネーター」と呼ばれています。
大半の仕事が治験を対象としているためと言われています。
因みに治験という英語はclinical trialです。

CRCは、薬剤師・看護師・臨床検査技師などさまざまな医療の資格を持っている人で構成されています。

しかし、国家資格の免許を実質的に使用するのではなく、それらの経験を生かし医療現場で治験関連の業務サポートを行っています。

CR(Clinical Research)/臨床試験とは何か?

臨床試験とは、患者並びに健康な人を対象に行う治療を含めた医療現場での試験のことを示します。

この臨床試験中に治験などの新薬開発を目的とした試験が含まれています。

国立がん研究センター「がん情報サービス」より引用http://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial/ct_qa01.html

Q5:「臨床研究」という似た言葉も聞きますが、区別がわかりません
A5:図1にあるように、「臨床研究」は、臨床現場でヒトを対象に行われる研究すべてをいい、その中に「臨床試験」が含まれます。臨床研究の中でも、評価したい薬や治療法などを、対象の患者さんに行う研究を臨床試験といいます。

図1 臨床研究の枠組み

臨床研究の枠組み

Q6:「臨床試験」と「治験」は、違うのですか?
A6:臨床試験の中でも、厚生労働省から薬、医療機器としての承認を得ることを目的として行われるものを「治験」といいます。治験は臨床試験の一種です。Q5の図1にあるように、臨床試験の一部が治験といわれるものになります。
国立がん研究センター がん情報サービス

CRCの所属先と仕事内容について

CRCには大きく2つの所属先があります。病院内の臨床研究センターや治験管理部門の病院職員として勤務する場合と、SMOという治験実施施設管理機関のCRCとして治験実施医療施設へ派遣されて勤務する場合とです。雇用主が病院かSMOという会社かの違いがありますが、基本的に仕事の内容は同じです。

仕事の内容は、製薬会社の新薬開発である治験業務を医療機関側に立ちサポートする仕事です。具体的にどのような業務があるか見ていきましょう。

SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)は治験実施施設(医療機関)と契約し、GCPに基づき適正で円滑な治験が実施できるよう、医療機関において煩雑な治験業務を支援する組織です。
日本SMO協会

治験開始前

治験業務フロー作成
依頼者側の製薬会社と医療機関の間で治験契約が結ばれると、治験責任医師と担当CRCが決められます。
担当になったCRCは新しい治験の治験実施計画書(プロトコール)を熟読し、治験を院内で円滑に実施するためにはどのような流れで運用したらよいか考えフローを作ります。
※治験実施計画書とは治験を実施にするにあたり治験実施者(治験を実施医療機関)及び治験依頼者(製薬会社)が遵守しなければならないその治験に関する要件事項を全て網羅記載した計画書

また、治験契約がなされた後はIRBという委員会に申請し、治験実施について審議を行います。
このIRBにて承認を得ないと治験は実施できません。
もし、IRBで治験同意説明書の文言の修正指示があった場合は、修正して正式に承認されてから治験が実施できます。

症例のための資材並びに資料作成
治験が院内でスタートする前に、事前に治験用検査キットや治験薬など治験に必要な資材が依頼者である製薬会社から送付されます。
これらの搬入に立会い、いつでも治験が開始できるように準備します。

治験実施計画書(プロトコール)のミーティング準備
治験を実施する際には、スタートアップミーティングを開催します。
このスタートアップミーティングは治験を実施する診療科の医局スタッフを始め、薬剤科、検査科、医事科など、治験に関わってくる院内の関連部署の代表者に対して治験の説明を行う会です。
このミーティング開催の院内調整や連絡を行います。

院内での治験関連部門との連絡と調整
スタートアップミーティングで話された院内運用や決定事項について議事録を作成し関連部署に通達します。
また、細かな調整を各部門の担当者とよく話し合います。

治験開始 被験者対応

被験者候補のスクリーニング
カルテを見て治験の適格性確認を行います。
適格性に問題がない患者さんのリストを作成し、その患者さんの来院時に治験説明が行えるように調整を行います。

まず、医師から候補患者さんに対して治験説明が行われます。
その後、CRCが治験の詳細な内容をお話しします。
この一連の流れを治験の同意説明(インフォームド・コンセント)といいます。

説明内容は、治験について・来院のスケジュールについて・予想される副作用・治験参加を拒否した場合も不利益を被らないことなどです。
治験内容や意義を理解し納得した患者さんには同意書に治験参加の署名を行ってもらいます。

同意書には、担当の医師名と同意説明補助を行ったCRCも署名します。

被験者の治験来院時の対応
治験参加が決定した後は、まず最初に治験登録業務(エントリー)を行います。
その後、CRCは被験者さんが治験のために来院する「治験来院日(ビジット)」の度に必ず被験者対応を行います。

被験者対応の具体的な内容は、服薬状況の確認(残薬ヒートの回収や返却)・併用薬の確認・有害事象の確認・検査や診察の立ち合い(医師による治験薬オーダーが正しいかなども医師と一緒に確認を行います)などです。

会計への付き添い
治験の場合は治験薬の会社である製薬会社が診療の一部を負担します。
これを保険外併用療養費といいますが、製薬会社の費用負担範囲などは治験毎で若干異なるため、医事科に対して請求業務の情報提供を行ったり、最初の会計時には被験者に同伴して請求金額に間違いがないかなどを確認します。

有害事象に対する迅速な対応
新薬には未知の副作用などの有害事象が起こりえます。
有害事象は重症度によってランク付けされおり、重篤な有害事象の発現時には迅速な対応を取る必要があります。

例えば、重篤な未知の副作用が発現した場合などは、被験者からの情報を治験責任医師や担当医師に迅速に連絡しなければなりません。
また、製薬会社のモニター(CRA)へもすぐに連絡を行わなければいけません。

治験関連部門との連携
検査科への治験用検査キットの提供や治験薬の残薬管理などの補助業務を行います。
検査キットが間違っていないか治験薬の保管温度が適正であるかなど、定期的に関連部署と共に確認業務を行います。

治験に関する書類作成と依頼者対応

症例報告書の作成
治験の被験者情報や検査データは症例報告書にまとめられます。
この報告書の内容は、被験者の基本情報や検査結果、有害事象の発現などです。

報告書にはCRCが記載可能な個所と医師のみの記載しか認められない箇所があります。
因みに、記載は手書きであったりEDCシステム(コンピューター)入力だったりと治験毎に異なります。
また使用言語はプロトコールによって決められており、国際共同治験の場合は主に英語となります。

治験依頼者の原資料直接閲覧対応など

定期的に依頼者側の原資料直接閲覧(SDV)や治験モニタリングに対応します。

CRA(治験モニター)は、被験者登録が行われた直後や数回の治験ビジット終了後毎に定期的に医療機関を訪問します。
治験の症例報告書と被験者カルテを閲覧し、被験者が治験基準に適格か?治験が適切に進められているか?の確認業務を行います。

この業務をSDV(原資料直接閲覧)と呼んでおり、その際には必ずCRCは医療機関にてCRA(治験モニター)対応しなければいけません。

これらの業務を治験開始から終了まで継続して行います。

CRCとして求められるスキルやメリットについて

CRCに求められるスキルとは何か?

CRCは、医療の日常診療の中に治験業務を円滑に導入し実施をサポートするプロフェッショナルです。

CRCとして働いている人の資格はさまざまで、薬剤師だけでなく看護師も臨床検査技師もいます。
そのため、資格を超えて共通して必要なスキルと、それぞれの治験によって必要とされるスキルとがあります。

共通して必要とされるスキル

  1. 院内の通常診療の流れや施設毎の特徴を把握して機敏に動き調整する力
  2. 治験に携わる関連部署のスタッフに気持ちよく動いてもらえるような配慮とコミュニケーション力
  3. カルテを読む力(病名・検査結果の見方等)、いわゆる医療専門用語の読解力

これらは1つの分野に特化したスペシャリスト的な知識というよりは、医療全体のジェネラリスト的な知識と考えられるでしょう。

各治験毎に必要とされるスキル

担当者CRCについては、あらかじめ依頼者側から治験を実施する予定の診療科の分野に詳しそうなCRCを希望されることもありますし、治験責任医師からCRCのパーソナリティについて要望されることもあります。

基本的には治験の担当者はメイン担当が1名、サブ担当が1名、その他ヘルプで構成されます。
このメイン担当の決定方法は、CRCの医療資格・過去の実績や経験値・本人の希望などを加味して総合的に決定されます。

例えば、①病棟で実施される治験の場合は病棟での勤務経験者、②国際共同治験の場合は英語力の高い人などです。

治験は、依頼者である製薬会社の社運をかけた開発業務です。
そのため、治験担当のメインCRCには治験実施をサポートするうえで適した人材が任命されます。

個人的に経験を積みたい場合や興味のある治験に携わりたい場合は、サブ担当のCRCとしてメインCRCの業務のサポートをしながら関わるような形態をとります。
このように、共通のスキルとして必要とされていることと治験によって必要とされるスキルとがあります。

CRCのメリットとは?

薬剤師の仕事というと、一般的には大半が調剤業務です。
しかし、CRCはその調剤を行う調剤室という空間から出なくてはいけません。

治験実施をサポートするには、病院全体を見ていかないと運営できませんし、垣根を越えた医療スタッフ達とチームを組まないといけません。

慣れるまでは違和感があるかもしれませんが、1つ1つ治験を経験し積み重ねていくと、院内を歩いていても顔見知りが増えてきます。
次第に、多くの人に囲まれながら仕事しているという実感を味わえるでしょう。

また、治験業務には当直がありません。日勤帯の仕事ですので、規則正しい勤務ができるメリットがあります。
小さなお子さんがいて残業や当直ができない状況のママ薬剤師でも十分に経験や資格が生かせるメリットがあります。

CRC薬剤師にはどのような人が向いているか

 
CRCはいろいろな医療資格を持つ医療人の集まりでもあるため、幅の広い仕事といえます。
それゆえ、CRCの仕事は薬剤師業務とは異なる特徴があります。

業務の特徴・学術面・勤務体系の側面からどのような人が向いているかみていきましょう。

業務の特徴

調剤業務等の診療報酬で行う仕事のように薬局内で完結できるものではありません。

院内の治験関連部署をまとめ上げる力と職種の垣根を越えてコミュニケーションが取れる人に向いています。
例えば、薬局中心の仕事や薬剤師だけの人間関係では物足りなさを感じている人には非常に向いているでしょう。

学術面の特徴

新薬開発である治験は医療の最先端分野です。

例えば、治験によっては被験者の遺伝子集積を行うものもあります。
もちろん、被験者の意思を尊重します。この集積の目的は、薬と遺伝子の関係性を調べ、遺伝子レベルで効果の有無を調査するためです。
このような検査は、一般の保険診療では行いません。

しかし、治験は研究の一部でもあるためこのような普段の日常診療ではない最先端医療に触れることができます。
このような医療の最先端に携わりたい人には治験という業界は向いています。

また、治験期間が終了し国から承認を得ると、晴れて医薬品として製造販売されます。
市場に出てきたときには非常に嬉しいもので多くのCRCはこの点にやりがいを感じるといいます。

勤務体系の特徴

病院内CRCかSMOに所属するCRCかによって勤務体系は若干異なりますが、基本的には日勤帯の仕事です。

そのため、当直が出来ない・したくない場合も今まで培ってきた経験や知識を生かせます。

まとめ

薬剤師資格を持っていれば年齢を問わずいつでもその気になれば働くことができます。

治験は、調剤という単調な業務に飽いてしまった時、このままでいいのだろうかと悩んだ時、もっと学術的な分野で仕事がしたい時、いろいろな職種の医療スタッフと仕事をしたい時、そのような薬剤師の気持ちや夢に応えてくれる仕事の1つといえるでしょう。

医療現場と研究の丁度真ん中に位置して両者の橋渡しをすることにより、より広い視点で医療を感じることが出来るようになります。
また、参加を決めてくれた被験者さんの意思が、最終的には同じ病気で苦しむ患者さんを救うことにつながっていることを肌で感じることができるようになります。

この経過を経験すると薬剤師として薬への思いがより深くなることでしょう。

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